【亜州ビジネス編集部】
アジア開発銀行(ADB)は21日発表した「アジア経済見通し2022年改訂版」で、東南アジアの22年の国内総生産(GDP)成長率予測を5.1%とし、前回発表(7月)の5.0%からやや引き上げた。新型コロナウイルス対策の活動制限が緩和される中、インドネシアなどで内需が堅調に推移すると見込む。一方、世界的な需要の低迷を踏まえ、23年の見通しは前回の5.2%から5.0%に下方修正した。
主要6カ国ではインドネシア(5.4%)とマレーシア(6.0%)で上方修正する一方、シンガポール(3.7%)で下方修正。タイ(2.9)とベトナム(6.5%)、フィリピン(6.5%)は据え置いた。
インドネシアは新型コロナ規制の緩和や雇用の改善で国内消費の拡大が続く見通し。また、資源価格の高騰を背景に輸出の大幅増が見込まれる。マレーシアは消費が力強く成長しているほか、電子製品の輸出が大きく伸びている。ただ、主要輸出先の中国や米国で経済が減速する見通しから、今後の成長鈍化が懸念される。
ベトナムは製造業やサービス業が予測より速いペースで回復しており、政府のインフラ整備で投資の拡大にも期待できる。外需の鈍化が今後の輸出の足かせとなるものの、23年には経済成長率が6.7%に加速すると見込まれる。一方、タイの成長率は6カ国中で最低となる見通し。ウクライナ危機の長期化で輸出や投資の伸びが縮小するうえ、家計債務の増加も大きなリスク要因になる。
東南アジアの22年のインフレ予測は、0.5ポイント引き上げて5.2%とした。主要6カ国ではインドネシアなど3カ国で上方修正。他にラオスとミャンマーでは10%を超える上昇を予測している。