【亜州ビジネス編集部】
商務省が5日発表した2022年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で6.4%だった。約14年ぶりの高水準だった前月(7.9%)から伸びが縮小。燃料価格の伸び減速が続いているほか、電気代補助政策で電気の上昇率が前月を大きく下回ったことなどで、5月以降で最低となった。振れ幅の大きいエネルギーと生鮮食品を除くコア指数も前月から低下し、3.1%だった。一方、食品は伸びが加速し、大洪水があった11年11月以来の高水準となった。
運輸・通信(6.4%)に含まれる車両用燃料(15.9%)の上昇率は3カ月連続で減速。21年2月以来の低さとなった。住居(3.5%)に含まれる電気(15.5%)は前月(62.7%)を大きく下回り、水道(0.9%)も伸びが縮小した。
一方、食品・非アルコール飲料(9.8%)は前月(9.4%)から加速し、10年10カ月ぶりの高水準を記録。調理済み鶏肉(30.6%)や生鮮肉類(27.1%)、油脂(20.8%)が高水準で推移している。また、野菜・果物(12.4%)が洪水被害の拡大や菜食週間(9月26日〜10月4日)の消費増で前月に続く2桁の上昇となった。
1〜9月のCPI上昇率は前年同期比6.2%だった。同省は第4四半期のCPI上昇率について、前四半期の水準を下回ると予測。燃料や食品の価格上昇が減速傾向にあり、生産・輸送コストが抑えられるとの見方を示した。ただ、国内消費の回復やバーツ安、洪水など物価を押し上げる要因が残り、上昇率の低下は限定的になるとみている。22年のCPI上昇率予測は5.5〜6.5%に据え置いた。08年の5.5%を上回り、1998年の8.0%以来の高水準に達する可能性があるとみている。