【亜州ビジネス編集部】
タイ中央銀行は11月30日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25ポイント引き上げ、1.25%とすることを決定した。
インフレの進行とバーツ安への対応が目的で、利上げは3会合連続となる。
ピティ総裁補は、タイ経済は観光産業と個人消費を原動力として回復していると指摘。しかし、インフレが依然厳しい水準にあるため、経済成長と物価の動向を見ながら段階的な利上げによって適切に管理する必要があるとの認識を示した。
中銀は2022年の国内総生産(GDP)成長率予想を3.2%とし、9月末発表の3.3%から下方修正。23年は3.7%、24年は3.9%とみている。一方、消費者物価指数(CPI)上昇率は22年が6.3%と、目標レンジ1.0〜3.0%を大きく上回り、23年に3.0%、24年に2.1%に低下すると予想している。
中銀は利上げを進めているものの、現在も総じて協調的な金融政策の姿勢をとっていると説明。金融市場の流動性は十分あるが、一部の中小企業や世帯では物価高や債務増大で首が回らない状況にあり、金融機関が債務再編などの手立てを続けるべきとしている。
なお中銀は20年の年初から3度の利下げによって政策金利を0.75ポイント引き下げ、新型コロナウイルス流行下で過去最低水準の0.50%を維持。22年8月に3年8カ月ぶりに引き上げた。