【亜州ビジネス編集部】
日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した海外進出する日系企業の実態調査によると、2022年に営業黒字を見込む日系企業の割合は東南アジアで63.5%となり、前年の57.1%から上昇した。インドネシアとシンガポールで7割を超えるなど、新型コロナウイルス禍からの回復で各国とも割合が上昇した。ただ、世界全体の64.5%は下回った。
調査は年1回行われている。21年は海外86カ国・地域の日系企業1万9143社を対象として、9月にオンライン配布・回収によるアンケートを実施。7173社から有効回答を得た(有効回答率37.5%)。世界全体では黒字企業の割合が1.9ポイント上昇。19年(65.0%)の水準まで回復した。
東南アジアでは国別で、シンガポールの73.5%が最も高く、インドネシアが73.2%、タイが63.8%で続いた。一方、ベトナムは59.5%と域内平均を下回る。
22年に営業利益の改善を見込む企業の割合は、東南アジア全体で43.8%。域内ではラオスが61.9%と高く、ベトナムとマレーシア、インドネシアは47%台、タイは40.1%だった。23年の見通しは東南アジア全体で44.9%に上昇し、ラオスが61.9%、ベトナムが53.6%で高い。
現地での事業拡大意欲についてはベトナムで高く、今後1〜2年に事業拡大を計画する企業の割合が60.0%に達した。全体平均の45.4%を大きく上回る。タイは40.3%と平均以下で、現状維持の割合が55.7%と大きかった。
経営上の問題点では、「調達コストの上昇」を挙げる企業が多く、タイヤベトナム、シンガポールなどで8割前後となった。他に「調達コストの上昇」や「為替変動」とする回答も多かった。