【亜州ビジネス編集部】
ジョコ大統領は21日、アルミニウムの原料となるボーキサイト鉱石の輸出を2023年6月から禁止すると発表した。
国内のアルミニウム精錬加工産業の育成が狙い。禁輸で投資を呼び込み、ボーキサイトから得られる収入を現在の年21兆ルピア(約1800億円)から62兆ルピアに引き上げる。
米地質調査所(USGS)によると、21年のインドネシアのボーキサイト生産量は1800万トンで、豪州や中国、ギニアなどに続く世界6位だった。生産量全体に占めるシェアは5.6%。推定埋蔵量は12億トンで、世界全体の約3.8%に上る。
大統領の発表に同席したアイルランガ経済調整相によると、ボーキサイトからアルミナを精錬する工場は国内に4カ所あり、年産能力は430万トン。将来は年間でボーキサイト2741万トンからアルミナ498万トンを生産する体制を構築したいとしている。
ジョコ政権は鉱物資源の高付加価値化に力を入れ、20年1月からニッケル鉱石の輸出を禁止した。これを受け、ニッケル製錬やニッケルを使用する電気自動車(EV)用電池などへの国外からの投資が急増。政府によると、14年に17兆ルピアだったニッケル関連の輸出額は21年に326兆ルピアまで増えた。この禁輸措置は世界貿易機関(WTO)協定違反だとして欧州連合(EU)に訴えられ、WTOパネル(小委員会)が先月、インドネシアの違反を認定。政府はWTO上級委員会に不服を申し立て、係争が続いている。