【亜州ビジネス編集部】
レアメタル相場が世界的に動意づくなか、中国もモリブデン(Mo)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ジルコニウム(Zr)などの値上がりが定着した。鉄モリブデン合金のトン当たり価格は、急伸後に高値を持続。約38万人民元(741万円)の売買が続いている。証券日報が6日付で伝えた。
レアメタルはハイエンド装備、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車(NEV)などの幅広い分野に用いられている。しかも中国は、タングステンやアンチモン、レアアースなどの資源埋蔵と消費量、海外輸出量がそろって世界首位に躍進しただけに、レアメタル産業に対する成長期待は高い。品位45〜50%のモリブデン精鉱は、トン当たりのDMTU(含有1%当たりの鉱石価格)が足元で5200人民元にまで高騰した。17年近くぶりの高値を切り上げている。
タングステンの市況も緩やかな上昇基調だ。今年1月の時点では、精錬工場の稼働率低迷、生産コストの増加を背景に、供給不足が意識されている。少なくとも今年第1四半期は需給ギャップが縮まらない見込み。業者が売り惜しみの姿勢を強化すれば、上昇に拍車がかかる恐れもあるという。タングステンは新エネルギー分野向けの消費が旺盛。太陽光発電用シリコンウェーハの切断時にも、タングステン極細線が多く使用されるようになった。
また、アンチモンは太陽電池カバーガラスの生産時に、清澄剤(ガラス製造時に消泡目的)として使用されてきた。アンチモンの需要は春節(旧正月)連休後に拡大。トン当たりの価格は6カ月ぶり高値の8万1500人民元に達した。今年第1四半期の国内価格に関しては、昨年高値を超える8万5000人民元に達するとの見方もある。中国北方のアンチモンインゴットFOB価格(本船渡し値段)は、足元でトン当たり1万3500米ドル(約178万3000円)にまで高まった。
ジルコニウムの需要も伸びている。ジルコニア(二酸化ジルコニウム)は高性能電池の正極材添加剤に利用される。
レアメタル生産を手掛ける主な中国企業は、洛陽モリブデン、廈門タングステン業、翔鷺タングステン業、金モリブデン、東方コク業、章源タングステン業、吉翔など。