【亜州ビジネス編集部】
政府は6日、電気料金の許容範囲の引き上げを決定した。引き上げは6年ぶりで、3日から適用。値上げに直接つながるわけではないが、年内に検討される電気料金の改定では、現在の1キロワット時(kWh)当たり1864.44ドンから最大31%の引き上げが可能になる。ベトナムプラスなどが6日付で伝えた。
許容範囲を1826.22〜2444.09ドン(約10〜13円)とし、下限を13.7%、上限を28.2%それぞれ引き上げた。引き上げは2017年以来となる。
現行規定では電気料金を半年ごとに見直す決まりで、発電コストが3%以上変動している場合に値上げできる。ただ、インフレ抑制や新型コロナウイルス流行下での国民への負担増を避けるため、政府は19年3月を最後に4年近く価格を据え置いてきた。
こうした中でベトナム電力グループ(EVN)は22年に31兆ドンの赤字を計上。年初から石炭や石油、ガスの価格が上昇し、生産コストが跳ね上がったためで、通年では少なくとも15年以降で初の赤字となった。EVNは料金改定を求めており、商工省経由で政府にこれを提案。ファム・チン・ミン首相は先週、電気料金は消費者の所得に合わせ合理的な価格に維持されるべきとコメントしている。
なおベトナムの電気料金は東南アジアで最も高いフィリピンの半分程度。インドネシアやタイよりも低い。一方、ラオスやロシア、バングラデシュ、インド、トルコよりは高くなっている。