【亜州ビジネス編集部】
中国の新エネルギー(NEV)市場で価格競争が激化している。一部のメーカーは値上げに動いたものの、足元では値下げが主流だ。2023年を迎え、テスラ、小鵬、問界、埃安、蔚来、飛凡、零ホウ、五菱、などの各ブランドが値下げを相次ぎ発表。価格の調整幅は、少なくて6000人民元(約11万6000円)、最大で10万人民元超に上る。広州日報が9日付で伝えた。
市場で販売競争が続くなか、弱小な下位メーカーは淘汰される恐れもある。大手企業を中心とする再編が生じる可能性も指摘された。また、NEV市場全体の規模にも、一定の上限もあるだろう。
NEV市場は急ピッチな拡大期を謳歌し、新乗車車販売に占めるNEVの比率は、2021年の14.8%から22年の27.6%に上昇したものの過度な楽観は禁物だ。すべて商品には販売の上限、または踊り場がある。動力電池生産に必須のリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンなどについても、需要が頭打ちする時期が早晩来るはずだ。
過去を振り返れば、中国自動車産業の急成長が目立った10年当時は、楽観が市場全体を支配。当時の予測では、20年の中国新車販売マーケットに関し、4000万〜5000万台に膨らむとの見方が主流だった。しかしながら、実際のピークは18年の2808万台に過ぎない。その後は21年の2627万台、22年の2686万台に停滞しているのが実態だ。