【亜州ビジネス編集部】
国家経済社会開発委員会(NESDC)が17日発表した2022年の実質国内総生産(GDP)は、前年比で2.6%増だった。プラス成長は2年連続で、前年の1.5%増から伸びが加速。新型コロナウイルス対策が緩和される中、個人消費や観光業の回復が原動力となった。一方、足元では主要輸出先の景気減速を背景に物品の輸出が低迷し、製造業の成長が鈍化している。同委員会は23年のGDP成長率予測を2.7〜3.7%に下方修正。物品の輸出額は前年割れに転じると予測した。
GDPの6割を占める個人消費は22年に6.3%増となり、前年(0.6%増)から加速。12年以来、10年ぶりの高い伸びとなった。消費額は新型コロナ流行前の19年も6.1%上回る水準に回復。インフレの逆風があったものの、自動車販売などが拡大した。民間投資も5.1%増と、前年を上回る伸びだった。一方、物品の輸出額は1.3%増に減速。月別の輸出額は10月以降に前年割れが続いている。
GDPを生産面から見ると、製造業が0.4%増となり2年連続のプラスを確保した。ただ、輸出が低調に推移する中で前年(4.9%増)から伸びが縮小している。一方、観光業の回復で宿泊・食品サービスが39.3%増と急伸。3年ぶりのプラスに転じ、生産額は新型コロナ前の19年の7割程度まで回復した。運輸・倉庫は7.3%増だった。
第4四半期の実質GDPは前年同期比1.4%増となり、前四半期(4.6%増)から減速。季節調整済み前四半期比では1.5%減と、5四半期ぶりのマイナス成長だった。前年同期比では物品輸出が10.5%減と落ち込みが大きく、産業別で製造業が4.9%減とマイナス成長に転じた。一方、観光業の回復でサービス輸出は倍増した。
23年のGDP成長率を2.7〜3.7%と予測
今回の結果を受け、同委員会は23年のGDP成長率を2.7〜3.7%と予測。観光業のけん引で22年から加速する見通しだが、22年11月時点で予測した3.0〜4.0%からは引き下げた。物品輸出の予測を1.6%減とし、前回予測の1.0%増から下方修正。輸出価格が低下するほか、輸出量が0.6%減るとみている。一方、中国の新型コロナ対策緩和で観光業のさらなる回復を見込めるとし、個人消費の予測は3.2%に上方修正した。
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GDP:タイ.xls