【亜州ビジネス編集部】
商務省が7日発表した2023年2月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で3.8%だった。前月(5.0%)を下回り、2カ月連続で伸びが鈍化。22年1月以来、13カ月ぶりの低水準となった。原油価格の下落などを背景に車両用燃料(5.0%)が過去2年で最低となったほか、生鮮食品の多くで供給が改善し、上昇が緩和した。振れ幅の大きいエネルギーと生鮮食品を除くコア指数の上昇率は1.9%で、前月(3.0%)から低下した。
品目別では、食品・非アルコール飲料(5.7%)が前月(7.7%)を下回り、2カ月連続で鈍化。
コメ(3.1%)や水産物(2.6%)などが前月から減速し、卵(15.1%)や生鮮家きん肉(9.6%)、生鮮野菜(15.5%)、生鮮果物(9.6%)も高水準ながら前月の伸びを下回った。油脂(マイナス3.8%)は前年同月に高水準だった反動もあって、約3年ぶりのマイナスとなった。
食品・非アルコール飲料以外(2.5%)も前月(3.2%)から上昇幅が縮小。車両用燃料の下げの影響が大きく、他の品目は多くがほぼ横ばいで推移している。
同省は3月もCPI上昇率の鈍化が続くと予測。引き続き燃料と食品の伸び減速が見込めるほか、タイの輸出の落ち込みや金融引き締めが価格上昇を抑える要因になると指摘した。一方、電気料金が高水準にあるほか、調理ガスの値上がりが顕著で、観光業の回復に伴う内需拡大も見込めることから、減速は緩やかなものなるとの見方を示した。23年の年間上昇率は前年比2.0〜3.0%と予測し、前月時点の予測から据え置いた。22年は6.1%で、1998年(8.0%)以来の高水準だった。