【亜州ビジネス編集部】
アジア開発銀行(ADB)は4日発表した「アジア経済見通し2023年4月版」で、東南アジアの23年の国内総生産(GDP)成長率予測を4.7%とし、前回発表(22年12月)から据え置いた。中国の経済活動の再開が成長を押し上げるものの、新型コロナウイルス対策の緩和で大きく伸びた前年(5.6%)からは減速するとみている。
主要国ではベトナム(6.5%)とマレーシア(4.7%)で予測を引き上げる一方、タイ(3.3%)とシンガポール(2.0%)で下方修正。インドネシア(4.8%)とフィリピン(6.0%)は据え置いた。
ベトナムは中国からの観光客の増加に加え、公共投資の拡大や、金融緩和などが経済成長の後押しとなる見込み。マレーシアも中国の経済活動再開の恩恵が大きく、政府の支援による国内消費の拡大にも期待できる。
一方、タイは世界経済の減速で輸出が伸び悩み、5月の総選挙実施に伴う予算執行の遅れもマイナス要因となる。また、シンガポールは世界経済の減速や各国の金融引き締めの影響で輸出産業や金融業が低迷し、成長の足かせになる見通し。年初の消費税(GST)増税が個人消費に与える影響も懸念される。