【亜州ビジネス編集部】
商務省が5日発表した2023年3月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で2.8%となり、前月(3.8%)を下回った。3カ月連続で鈍化し、21年12月以来、1年3カ月ぶりの低水準を記録。原油価格の下落などを背景に、車両用燃料(マイナス2.5%)が2年2カ月ぶりのマイナスとなり、全体を押し下げた。同省は23年のCPI上昇率予測を前年比1.7〜2.7%に下方修正した。
項目別では、運輸・通信(マイナス0.7%)が全8項目中で唯一のマイナス。車両用燃料がマイナスに転じたほか、公共交通(5.7%)が前月から減速した。他の項目では、食品・非アルコール飲料(5.2%)も前月(5.7%)を下回り、3カ月連続で鈍化。生鮮野菜(11.9%)や家きん肉(7.7%)など幅広い品目で伸びが縮小し、油脂(マイナス6.3%)が前年同月に高水準だった反動もあって、2カ月連続のマイナスとなった。一方、コメ(4.5%)は前月を上回る伸びだった。振れ幅の大きいエネルギーと生鮮食品を除くコア指数の上昇率は1.8%で、前月(1.9%)から低下した。
3月の結果を受け、同省は23年のCPI上昇率予測を1.7〜2.7%とし、前月時点の2.0〜3.0%から引き下げた。第2四半期も伸び減速が続くとの見方を示し、燃料油の下落や輸出の低迷、金融引き締めに伴う消費の減速などを要因に挙げた。一方、電力やガスの料金が引き続き高水準にあるほか、労働力不足も生産コストを押し上げる要因となると指摘した。