【亜州ビジネス編集部】
米国が中国に対し先端半導体分野の規制を厳格化した中、中国が独力で先端半導体を生産できるようになるまで、どのくらいの期間が必要なのかに関心が集まっている。これについて成都電子科技大学情報通信工程の曽燎原・副教授は「20年かかる。中国のスマートフォン製造業は間もなく困難に見舞われる」との悲観を示した。6日付台湾・工商時報がサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の報道として報じた。
米国は中国への先端半導体と製造設備の供給を自国企業に禁止し、設備についてはオランダと日本にも規制実施に同調させた。先進半導体の関連製造設備は米日蘭の3国で市場を抑えているため、中国半導体企業による先端半導体への移行は、完全に独自技術のみで推進する以外にない厳しい状況に陥った。中国企業は現行の技術水準すら維持できず、ファウンドリー最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が回路線幅40ナノメートル(nm)レベルに後退するとの予測も出ている。
曽副教授は「通信産業とデジタル経済にとって重要なだけに、中国はスマホ分野をあきらめることはできない」と語る。そしてスマホ向けICで、中国業界は今後も長期間、海外依存から脱却できない恐れがある。米国の制裁を受けたある中国企業の広報担当者は、「第5世代(5G)移動通信の激しい競争の中で、中国企業は『イノベーションか死か』の局面を迎えている」と指摘した。
広東省深セン市のベテラン電子エンジニア、ジョン・コー氏は、海外ハイエンドスマホメーカーがハイエンド生産工場を海外に移転させる動きを続けた場合、中国の電子産業全体が逆風を受けるとみている。中国の内需市場のみでは、次世代のハイエンド電子製品の研究開発(R&D)と生産を支えるのに不十分であるためだ。