【亜州ビジネス編集部】
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の経済を調査・監視するASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)は11日発表したリポートで、2023年のASEAN域内総生産(GDP)成長率を4.5%と予測した。4月の前回予測から0.4ポイント下方修正。世界的な景気減速を背景にベトナムやシンガポールで輸出が落ち込んでいることを要因に挙げた。
GDP成長率の予測は、域内10カ国のうちベトナムやシンガポール、タイなど5カ国で引き下げた。ベトナムの成長率は4月時点で域内最高の6.8%を見込んでいたが、今回は4.4%に下方修正。同国では上半期の輸出額が前年同期比で1割減少し、輸出企業による解雇が増えるなど、景気減速が顕著となっている。シンガポールも輸出の落ち込みが続いており、工業生産額は5月に前年同月比で1割減少。AMROは同国のGDP成長率予測を1.3%に引き下げた。タイは3.9%とし、前回予測から0.2ポイント下方修正。観光業の回復が見られるものの、輸出・工業生産の落ち込みが続いている。
一方、フィリピンの予測は6.2%に据え置いた。同国では新車販売が上半期に3割増えるなど消費が堅調に推移している。マレーシアも据え置き、前回と同じ4.2%と予測した。
日中韓を合わせたASEAN+3のGDP成長率は4.6%と予測し、前回から据え置いた。労働市場の回復やインフレの緩和などで消費が上向き、外需の低迷をカバーすると見込む。