【亜州ビジネス編集部】
アジア開発銀行(ADB)は19日発表した「アジア経済見通し2023年7月版」で、東南アジアの23年の国内総生産(GDP)成長率予測を4.6%とし、前回発表(4月)から0.1ポイント引き下げた。ベトナムとシンガポールの2カ国で下方修正。両国とも輸出受注の落ち込みで製造業が低迷している。一方、個人消費が好調なタイは上方修正した。
主要6カ国のうち残り3カ国は据え置いた。ベトナム(5.8%)は前回予測から0.7ポイント下方修正。外需が弱く上半期に製造業の生産額が0.4%増と伸び悩んだうえ、北部で発生した停電や不動産業者の資金繰りが悪化などの影響も懸念される。シンガポール(1.5%)は輸出の落ち込みに加え、米国の金融引き締めや国内の消費減速などが成長の足かせとなる見通し。成長率の予測は前回から0.5ポイント引き下げた。
タイは0.2ポイント上方修正
一方、タイ(3.5%)は農業生産の拡大や観光業の回復に伴う消費拡大を受け、0.2ポイント上方修正した。年間の外国人来訪者数の予測は、2800万人から3000万人に引き上げた。フィリピン(6.0%)は据え置き。投資や個人消費が堅調で第1四半期のGDP成長率が6.4%に達しており、輸出は落ち込んでいるものの観光業などの回復がある程度補うと見込む。
24年の東南アジアのGDP成長率は4.9%と予測し、前回の5.0%から下方修正した。主要国では5カ国で据え置き、ベトナム(6.2%)のみ0.6ポイント引き下げた。