【亜州ビジネス編集部】
香港の調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチの20日発表によると、東南アジアの電気自動車(EV)販売台数が2023年第1四半期に前年同期の10倍に増え、新車販売全体に占める割合は3.8%に達した。前年同期の0.3%から上昇しており、同社は年内に約6%に拡大すると見込む。22年初めに政府のEV振興策が導入されたタイで市場が急速に拡大。中国EV最大手の比亜迪汽車(BYD)などが同年に相次ぎ参入し、BYDは東南アジア全体のEV市場でシェアが5割に達した。
タイが域内全体の8割
EVはタイで人気が高く、第1四半期の国別販売で域内全体の78.7%を占め他国を圧倒した。補助金と減税を柱とするEV振興策で販売価格が抑えられ、BYDや同じく22年に参入したナタ汽車(NETA)などの販売が好調に推移している。両社は23年に入って現地工場を着工。さらに長安汽車や広州汽車といった他の中国メーカーもタイでのEV工場建設に向けた準備を進めている。
EV販売の国別2位はインドネシアだった。ただ、域内全体に占める割合は8.0%と、タイの10分の1にとどまる。韓国・現代自動車や中国・上汽通用五菱などが既に現地生産を開始。4月には国産EVに対する減税策が始まり、今後の生産販売拡大が期待される。国別シェアの3位以下は、◆ベトナム=6.8%◆シンガポール=4.1%◆マレーシア=2.4%◆フィリピン=0.04%――と続いた。
域内EV販売の企業別シェアは、BYDが51.2%でトップ。同社は22年末にマレーシア市場にも参入している。2位はナタ汽車を手掛ける中国・合衆新能源汽車のシェア9.6%、3位はタイで複数車種を販売する上海汽車が8.0%で続いた。中国系全体では約75%に達し、前年同期の約38%から上昇した。モデル別のシェアはBYD「ATTO3(元プラス)」、ナタ汽車「ナタV」、米テスラ「モデルY」の順に高かった。
一方、プラグインハイブリッド車(PHV)の企業別シェアは、中国・吉利汽車が30.5%で首位。これに独BMWが22.8%、同メルセデス・ベンツが22.1%で続いた。モデル別の1〜3位は吉利傘下のボルボ・カーの「XC60」、「BMW3」、ベンツ「Eクラス」の順だった。