【亜州ビジネス編集部】
包装材メーカーの藤森工業(本社:東京都文京区)は24日、首都圏セランゴール州で建設を進めていた海洋分解性樹脂の試験工場が完工したと発表した。現地大学などとの共同事業で、バイオマスを原材料に使用し、環境負荷の小さい生産工程を導入。実証試験を行い、飲食チェーンで使用される食器など使い捨てプラスチック製品の商業生産を目指す。
マレーシア科学大学(USM)と、貿易産業省(MITI)傘下で工業規格の認証などを行うシリムとの3者で手掛ける。シリムの敷地内に年産能力5トンの試験工場を設けた。原材料には農業廃棄物などの未利用資源を活用。また、発酵培養・抽出・精製の工程に微生物や昆虫の自然環境の生態を利用して生産時の環境負荷を抑える。2025年度にも事業化し、年産能力を2030年に5000トンまで引き上げる計画。高付加価値製品の開発・量産化も目指す。
藤森工業は海洋プラスチック流出量の多い東南アジアの3カ国に生産拠点を持つことから、プラスチックによる海洋汚染の解決に向けた取り組みを行ってきた。USMとは微生物を利用した生産工程に関する共同研究を2021年から手掛けている。