【亜州ビジネス編集部】
米S&Pグローバルが5日発表した東南アジア諸国連合(ASEAN)の2023年8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.0となり、前月(50.8)から小幅に上昇した。指数上昇は4カ月ぶり。景気拡大と悪化の分かれ目である50を23カ月連続で上回った。生産高の拡大ペースが5月以来の高水準となったほか、雇用が増加に転換し、新規受注も拡大基調を維持した。
国別ではベトナム(50.5)が6カ月ぶりに50超を回復する一方、これまで好調が続いていたタイ(48.9)とフィリピン(49.7)が50を下回った。ベトナムは雇用がやや減少したものの、新規受注が6カ月ぶりに拡大。新規輸出受注も増加に転じた。投資財を中心に生産高も小幅ながら拡大し、購買活動も活発化した。ただ、需要は依然として弱く、S&Pは回復傾向に転じたとは言い切れないとしている。
タイは景気悪化圏に
タイは21年12月以来、1年8カ月ぶりに景気悪化圏に転落。新規受注の落ち込みが響いた。受注残が積み上がっていたことで生産高は拡大している。フィリピンは21年8月以来、2年ぶりに50を下回った。国内の天候悪化などで新規受注が1年ぶりに落ち込み、雇用も引き続き減少した。
ほか、インドネシア(53.9)は前月を上回り、21年11月以来の高水準を記録した。新規輸出受注が速いペースで拡大し、生産高を押し上げる要因となっている。マレーシア(47.8%)は前月から横ばいで、需要低迷を背景に50未満が続いている。