【亜州ビジネス編集部】
タイ中央銀行は27日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25ポイント引き上げ、2.50%に改めることを全会一致で決めた。利上げは8会合連続。金利は10年ぶりの高水準に達した。国内経済が緩やかながら着実に回復する一方、新政権の経済政策などでインフレが上振れする可能性を警戒し、追加利上げに踏み切った。
中銀は今回、2023年の国内総生産(GDP)成長率予想を従来の3.6%から2.8%に下方修正。内需は堅調だが、中国経済の回復が予想より遅く、輸出や観光が停滞していることが背景にあるとした。一方、24年の成長率については3.8%から4.4%に見通しを上方修正。内需は引き続き堅調で、観光や輸出が回復するとみている。
23年のインフレ率予想は、従来の2.5%から1.6%に引き下げた。政府による生活補助や、高かった前年の反動が背景にあるとしている。一方、24年は従来の2.4%から2.6%に上方修正。政府の景気対策による需要の拡大や、エルニーニョ現象による不作を背景にインフレが強まるとみている。
中銀はインフレ抑制を目的として8会合連続で利上げしたが、タイ経済の回復ポテンシャルを踏まえると、長期的な経済成長を見込める適正な金融政策を講じていると分析している。
中銀は20年の年初から3度の利下げによって政策金利を0.75ポイント引き下げ、新型コロナウイルス流行下で過去最低水準の0.50%を維持。その後、22年8月に3年8カ月ぶりに引き上げ、それから8会合連続で利上げしている。