【亜州ビジネス編集部】
米S&Pグローバルが2日発表した東南アジア諸国連合(ASEAN)の2023年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6となり、前月(51.0)から低下した。景気拡大と悪化の分かれ目である50を下回るのは、21年8月以来、2年1カ月ぶり。外需を中心に新規受注が落ち込み、フィリピンを除く各国で指数が前月から低下した。
新規受注の指数は年初来で初めて50を割り込み、特に新規輸出受注が低迷した。生産高は50超を維持したものの、過去2年で最も低い水準に鈍化。生産の伸び悩みで原材料、製品の在庫が縮小し、雇用もやや悪化した。
国別では7カ国のうち6カ国でPMIが前月を下回り、4カ国で50未満となった。
タイは21年5月以来の低水準
タイ(47.8)は新型コロナウイルスの影響があった21年5月以来の低水準。新規受注が過去約3年間で最大の落ち込みとなった。受注残も減り続けており、今後数カ月は製造業の業況がさらに悪化する見通しという。ただ、既受注の消化で生産高が引き続き拡大しているほか、製造業の間で今後の見通しを楽観する見方が強まっている。
シンガポール(47.3)の指数は過去約2年間で最低となった。ベトナム(49.7)は2カ月ぶりに50未満に転落。ただ、新規受注は拡大している。マレーシア(46.8)は輸出受注の落ち込みで受注残が17年7月以来の低水準を記録した。
一方、フィリピン(50.6)は生産、新規受注、雇用がいずれも拡大し、2カ月ぶりに50を回復した。インドネシア(52.3)は前月から減速したものの拡大基調が続いており、生産、新規受注とも堅調に推移している。