【亜州ビジネス編集部】
シンガポール金融管理局(MAS)は13日、金融政策を維持すると発表した。据え置きは4月に続き2回連続。物価上昇の勢いが弱まる中、景気後押しに配慮する姿勢を維持した。
MASは主要貿易相手国の通貨に対する為替レートの誘導目標を定めることで金融政策を調整。通貨バスケットに対するシンガポールドルの名目実効為替レート(NEER)の誘導目標について、傾斜と中央値、許容変動幅を変えることで景気や物価の安定を図っており、今回これら全ての設定を据え置いた。
MASは2021年10月から3カ月おきに5回連続で引き締めを実施。その結果、シンガポールドルの為替レートは現在、許容変動幅の内側の上方にある。つまり通貨高により輸入価格の上昇を軽減できる状況で、MASは23年の消費者物価指数(CPI)上昇率が5.0%前後となり、22年の6.1%から落ち着くと予想。24年は3.0~4.0%へとさらに低下するとみている。
MASは一方で、23年の国内総生産(GDP)成長率が目標レンジである0.5~1.5%の下方にとどまると予測。24年は前年を上回り、シンガポール経済の潜在性をより発揮できるとみるが、世界経済の不透明性は強く、国内経済の回復が遅れる可能性もあると警戒している。貿易産業省が13日発表した23年第3四半期のGDP成長率は前年同期比で0.7%と、前四半期(0.5%)から加速した。
金融政策の次回発表は1月
なおMASは今回、通常は4月と10月の年2回行う金融政策の発表について、四半期ごとにシフトすると説明。次回は1月に金融政策を発表するとしている。