【亜州ビジネス編集部】
マレーシア経済研究所(MIER)は、同国の国内総生産(GDP)成長率が2023年の3.9%から24年には4.3~4.6%に加速するとの予測を明らかにした。新型コロナウイルス関連規制の撤廃で観光客が戻る他、労働市場の改善や電気・電子産業の回復に期待できるとしている。大型の公共投資も追い風となると見込む。ザ・エッジが27日付で伝えた。
マレーシア中央銀行によると、23年第1~3四半期のGDP成長率は順に5.6%、2.9%、3.3%だった。第2四半期に減速したものの、第3四半期には消費がけん引して上向いており、MIERは、今後は世界経済の回復や労働市場の改善、半導体需要の拡大、リンギ高などによりさらなる回復が見込めるとした。
MIERのスライマン・マーボブ所長はまた、政府が10月に発表した24年度予算案で大型公共投資を推進する意向を見せたことも、国内経済の追い風になると表明。新型コロナ禍が明けたことでさらなる外国人観光客の来訪が見込めるとした。
政府が24年から食品や飲料、通信を除き販売サービス税(SST)を6%から8%に引き上げることについては、税収が増えることで財政が改善し、これがリンギ高を後押しすると指摘。米国が24年に利下げし、一方で中国経済が回復に向かって対中貿易が拡大する中、為替は1米ドル=4.40リンギ(現在は4.70リンギ付近)とリンギ高に振れるとみている。
中銀のフラジアリ・イスマイル総裁補佐も見通しを楽観しており、これまで米国の利上げと中国経済の低迷で起きた「最悪の事態」は過ぎ去ったと指摘した。一方、ラフィジ・ラムリ経済相は、経済全体が持ち直した今、よりターゲットを絞った補助金を拠出する必要があると強調した。