【亜州ビジネス編集部】
政労使の3者で構成される賃金委員会(委員長:パイロート労働次官)は8日の会議で、都県別の法定最低賃金を現行の1日328~354バーツから来月1日付で330~370バーツに引き上げることを決めた。同委員会で決まった最低賃金は最終決定で、通常はそのまま閣議で承認される。ただ、今回はセター首相兼財務相が上げ幅が小さすぎると反発し、再度調整が行われる可能性が浮上した。政府は12日の閣議で審議する。各紙が伝えた。
賃金委員会の決定では、新たな最低賃金は最も高い南部プーケット県で370バーツ(現行354バーツ)、バンコク都など首都圏の1都5県で363バーツ(同353バーツ)、東部の工業地帯であるチョンブリー県とラヨーン県で361バーツ(同354バーツ)などとなる予定。一方、最も低い南部のナラティワート県、パタニー県、ヤラー県は330バーツ(同328バーツ)にとどまる。
首相は9日、この決定について、最低賃金の上げ幅が2~16バーツというのは物価が高騰する中、少なすぎて同意できないと述べ、再度調整を図る考えを示した。目標とする最低賃金の水準については、「主要な県で400バーツ」と述べた。
雇用者側からは、首相による異例の介入に反発が上がる一方、歩み寄りが必要という声も出ている。
首相が所属するタイ貢献党は今年5月の下院総選挙で、2027年までに最低賃金を600バーツに引き上げる公約を掲げていた。