【亜州ビジネス編集部】
アジア開発銀行（ADB）は13日発表した「アジア経済見通し2023年12月版」で、東南アジアの23年の国内総生産（GDP）成長率予測を4.3％とし、前回発表（9月）から0.3ポイント引き下げた。主要6カ国のうち外需低迷の影響が大きいタイとベトナム、マレーシアの3カ国で下方修正。残り3カ国は据え置いた。24年の域内GDP成長率は4.8％と予測し、0.1ポイント引き下げた。
タイの23年予測（2.5％）は1.0ポイントの下方修正。輸出の落ち込みに加え、政府支出や消費の減速、24年度予算の遅れも懸念されるとしている。外国人観光客の戻りが遅く、24年の予測も下方修正した。23年についてはほか、ベトナム（5.2％）とマレーシア（4.2％）も外需の減速に伴う製造業の不振を受けて予測を引き下げた。ベトナムは雇用の悪化も成長率を押し下げる要因となる見通し。マレーシアは内需が堅調で失業率が改善しているものの、主力の電子や石油、パーム油などの輸出低迷が響く。
フィリピン（5.7％）とインドネシア（5.0％）、シンガポール（1.0％）は据え置き。フィリピンは物価高の影響で第3四半期に消費が減速したものの、安定した雇用や海外送金に支えられて高成長を維持する。BPO（ビジネスプロセスアウトソーシング）や観光などのサービス輸出にも期待できるという。インドネシアは消費や投資の好調が続くと見込まれる。
