【亜州ビジネス編集部】
貿易産業省は2日、2023年の実質国内総生産(GDP、速報値)成長率が前年比1.2%だったと発表した。プラス成長は3年連続だが、新型コロナウイルス禍の反動は薄れ、2年連続で減速した。世界的な物価高に伴う景気後退で輸出が低調となり、製造業はマイナス成長だった。
成長率を産業別にみると、製造業がマイナス3.6%で唯一縮小。前年のプラス2.5%からマイナスに転じた。残りの産業はプラスで、建設業は7.7%と前年の6.7%から加速した。サービス業は2.3%で、前年の4.8%から減速。サービス業の中では宿泊・外食・不動産・管理支援サービスが4.6%で最も伸びが高かったが、前年の7.4%からは減速した。
貿産省は23年11月、24年のGDP成長率予想を1.0~3.0%と発表。上半期は主要国の成長率が引き続き低迷するものの、下半期には回復して電子製品の需要が拡大し、シンガポールを含む各国の経済成長が後押しされると期待している。一方、ストレーツタイムズによると、リー・シェンロン首相は1日発表した年頭所感で、24年だけでなく今後数年間は地政学的不確実性や気候変動が世界経済の重しになると述べている。
■4Qは2.8%成長、製造業がプラス転換
貿産省は今回、23年第4四半期のGDP成長率を2.8%(速報値)と発表した。前四半期の1.0%を上回り、年初から期を追うごとに伸びが加速した格好。マイナス成長が続いた製造業は第4四半期にプラスに転じた。
全ての産業がプラス成長。製造業は3.2%で、少なくとも4四半期続いたマイナス成長がストップした。精密エンジニアリングを除く全ての製造業でプラス成長となった。建設業は9.1%で、前四半期から伸びが加速。民間・公共事業とも好調だった。サービス業も前四半期の伸びを上回り、2.4%だった。
季節調整済み前四半期比のGDP成長率は1.7%。プラスは3四半期連続で、前四半期の1.3%から加速した。産業別では製造業が9.0%と前四半期の0.3%から大きく加速。建設業も4.3%と加速した一方、3四半期連続のプラスだったサービス業は横ばいとなった。