【亜州ビジネス編集部】
タイ中央銀行は7日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を2.50%に維持する決定を下した。据え置きは2会合連続。世界的な商品需要の停滞と中国経済の減速で輸出低迷が続くとみられる中、2024年の国内総生産(GDP)成長率予想を今回下方修正したものの、現在の金融政策がマクロ経済の長期的な安定につながるとみて据え置きを決めた。
委員7人のうち5人が据え置き、残り2人は0.25%の利下げを主張した。ロイター通信によると、政府が景気刺激に向けて利下げ圧力を強めたが、アナリストらの予想通り据え置きで着地した。
中銀は今回、24年のGDP成長率予想を前回会合(23年11月末)の3.2%から引き下げ、2.5~3.0%に下方修正。世界的な景気低迷と中国経済の不調で輸出が鈍るほか、タイの輸出競争力の低下といった構造的な問題も一因にあるとした。国内経済の成長エンジンは個人消費と観光業になると指摘。ただし観光については、輸出同様に競争力低下は否めず、観光客1人当たりの消費額も落ち込むとみている。
中銀は今回、24年のインフレ率予想も下方修正した。生鮮食品とエネルギー価格が予想よりも低いことなどが理由で、前回会合で発表した1.3%よりも1.0%に近付くとしている。
中銀は20年の年初から3度の利下げによって政策金利を0.75ポイント引き下げ、新型コロナウイルス流行下で過去最低水準の0.50%を維持。その後、22年8月に3年8カ月ぶりに引き上げ、それから8会合連続で計2.00ポイント利上げしていた。