【亜州ビジネス編集部】
調査会社ケナンガ・リサーチは、2024年の新車販売台数(TIV)予想を従来の71万台から74万台に4%引き上げた。マレーシア自動車協会(MAA)が予想する水準まで上方修正した格好。軽油の補助金削減によってディーゼル車の販売が中間層の間で落ち込むものの、政府が優遇策を打ち出した電気自動車(EV)の販売が伸び、全体を押し上げるとみている。ニュー・ストレーツ・タイムズが15日付で伝えた。
マレーシアで流通するEVは今のところ全て輸入車で、政府は最低販売価格を10万リンギ(約332万円)に設定。現在は販売が少ないが、ケナンガは、各社が相次ぎEVを投入しているほか、政府がこのほど26年以降もEVの道路税を優遇すると発表したことがEV販売を押し上げると見込む。
一方、政府が6月10日から軽油の燃料補助金を削減したため、中位40%の中所得世帯(M40)でディーゼル車の需要が落ち込むと予想する。ただ、一部の業者や低所得者、農家は補助金削減の対象外であり、下位40%の低所得世帯(B40)は影響を受けない見通し。
同社は、EVとエンジン車で先行きが二極化する可能性があるとしつつも、メーカーの受注残が5月末時点で約20万台あることを踏まえれば、向こう数カ月は繁忙期が続くと指摘した。また受注残の半分以上が最近発表された新モデルで、今後発表されるモデルの好調も期待できるとした。
なお23年の国内新車販売台数は前年比10.9%増の79万9731台で、過去最高を2年連続で更新した。