【亜州ビジネス編集部】
新エネルギー乗用車(乗用NEV)製品の海外輸出にブレーキがかかり始めた。中国製乗用NEVの輸出台数は、今年6月に概算8万台にとどまっている。前年同期比で12.3%伸びたものの、前月比では15.2%減少した。前月比のマイナス成長は3カ月連続。しかもマイナス率は拡大する傾向にある。業界団体の全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)が8日に報告した。
乗用NEV8万台の輸出内訳は、純電気自動車(BEV)が全体の72.6%を占める。「A0」「A00」クラスの中国自主ブランド小型BEVは、BEV輸出に占める比率が2023年6月の56%から今年6月の27%に低下した。各メーカーが中・大型BEVの輸出に注力している実態を映している。
反補助金調査やトルコと欧州連合(EU)による中国製車両への関税引き上げなどが重し。中国のNEVメーカーは輸出を減速させた。一部の企業(比亜迪:BYD、奇瑞:Chery、ナタ汽車:NETA、埃安:Aionなど)は、輸出先の分散を図っている。電動車の普及を優先している東南アジア諸国連合(ASEAN)市場、または産業基盤が比較的に弱く、かつ需要が拡大している南米市場で販売に注力するようになった。
ただ、短期的にはNEV輸出が減少したものの、全体的な乗用車輸出は昨年末からの高い成長を持続している。6月の乗用車輸出(完成車とCKDを含む)は、中国全体で37万8000台に達した。前年同月比28%増、前月比横ばいとなっている。1~6月累計の乗用車輸出に関しても、前年同期比33%増の224万7000台に拡大した。
しかしながら、多数の自動車メーカーは、年間のKPI(重要目標達成指標)達成度が総じて芳しくない。上期が満了したにもかかわらず、24年販売目標達成率が50%を超えるメーカーは僅少だ。比較的に良好な販売実績を収めた企業はBYD、吉利汽車(Geely)、重慶長安汽車(Changan)で、年間販売目標の40%以上をそれぞれ達成している。
半面、理想汽車(Li Auto)、上海汽車集団(SAIC)、広州汽車集団(GAC)、東風汽車集団(Dongfeng)などは年間目標の約30%、小鵬汽車(Xiaopeng)、ナタ汽車、智己(IM)、深藍(DeepBlue)などは20%未満に過ぎない。これら各社は、下半期に大きなプレッシャーがかかりそうだ。
乗聯会によると、今年6月の乗用車国内小売は、狭義ベース(マイクロバスを除く)で前年同月比6.7%減の176万7000台に縮小した。マイナス成長は3カ月連続。ただ、前月比では3.2%増加したという。