【亜州ビジネス編集部】
欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、中国製の電気自動車(EV)に対して7月5日から暫定的に適用している追加関税について、これまでの調査を踏まえた最終案を発表した。上乗せする関税は最大で36.3%とし、従来の37.6%から小幅に引き下げている。また、米テスラ(TSLA/NASDAQ)の追加関税は9%とし、他メーカーより大幅に低い水準とした。信報など複数メディアが21日までに伝えた。
欧州委は今年6月、中国政府からの不公平な補助金により、EUのメーカーに経済的な損失を及ぼす恐れがあるとして、中国製EVに追加関税を課す方針を表明した。7月5日付で、従来の10%に上乗せする形で課税している。
調査への協力度合いなどによって、追加関税の税率は異なる。今回発表された最終案によると、比亜迪(BYD:1211/HK)に対する税率は従来発表の17.4%から17.0%にやや引き下げられた。また、吉利汽車(175/HK)は19.9→19.3%、上海汽車集団(SAIC:600104/SH)は37.6→36.3%に修正されている。このほか、調査に協力した企業は21.3%、応じなかった企業は36.3%とした。
中国で製造されるテスラ車については、20.8→9%へと大幅に引き下げられている。これについて欧州委は、中国政府から受けている補助金が少ないなどと説明した。
今回の最終案はEU加盟国による投票などを経て、11月に本格的に導入される見通し。EU加盟国の投票で承認された場合、その後5年間、関税の上乗せが続くことになる。なお、これまでの報道によると、追加関税の是非を巡っては、EU内で意見が対立している状況。先ごろ行われた投票で12カ国が賛成する一方、4カ国が反対、11カ国が棄権したとされる。
中国商務部は欧州委の今回の発表に対して強く反発。対抗措置をとる可能性を示唆している。