【亜州ビジネス編集部】
米商務省は1日、タイやベトナムなど東南アジア4カ国の太陽光パネルに相殺関税を課す予備判断を下したと発表した。各国政府の補助金で不当に価格を下げ、米国の産業に損害を与えていると判断した。
両国とマレーシア、カンボジアの太陽光パネルが対象で、実際にこれらの国々で組立生産されているかを問わず、輸入時に相殺関税を課す方針。税率は企業によって異なり、ベトナムは0.81~292.6%で最も幅が広く、タイは0.14~34.52%、マレーシアは3.47~123.94%、カンボジアは8.25~68.45%とする。関連企業・機関から反証を受け付けて最終的な判断を来年2月に下し、制裁を決定した場合には同年4月に発動する。
商務省は4カ国から輸入する同製品について反ダンピング(AD)調査も行っており、間もなく予備判断を発表する見通し。
米政府は4カ国の太陽光発電関連製品について、2022年5月から2年間、関税を免除。バイデン政権がグリーンエネルギーへの転換を加速するために行った措置で、これは予定通り今年6月に終了した。一方、これまでの報道によると、米国内のメーカーは安価な輸入品で損害を受けたとして、4カ国のパネルに271%の追加関税を課すよう訴えていた。
米国の23年の太陽光パネル輸入に占めるタイなど4カ国製の割合は70%を超えた。東南アジアでは、米国の制裁を回避したい中国メーカーの投資が14年ごろから拡大しており、過去2年間の免税措置も追い風となって米国への輸出が増えていた。