【亜州ビジネス編集部】
信用調査会社の東京商工リサーチ(TSR)は11日、深センで9月に発生した日本人学校に通う男児が襲われ、死亡した事件を受けて、10月上旬に実施した「中国の日本人駐在員」に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、企業の約3%が中国に日本人従業員を駐在させており、そのうちの8割超が「駐在員に注意喚起した」と回答している。新規駐在の停止や家族の帰国を促す企業も出ており、今回の事件が改めて中国ビジネスの難しさを浮き彫りにした格好となっているという。
中国での駐在員について、駐在を「させている」企業は2.7%(5793社中、157社)、「させていない」企業は97.2%(5636社)で、約3%の企業で日本人駐在員がいることが分かった。規模別では、大企業が14.1%、中小企業が1.5%と、圧倒的に大企業が多い。
今回の事件を受け、「駐在者に注意を喚起した」企業は83.0%(112社中、93社)と、8割を超えた。また、数は少ないものの、「駐在中の従業員に家族の帰国を促した」が2.6%(3社)、「新規駐在を停止した」が1.7%(2社)、「新規駐在の場合、家族帯同を原則禁止した」が0.8%(1社)など。
日本企業は安全対策を急いでいるが、中国では殺傷事件が相次ぎ、外務省は「複数人で外出するなど、十分な安全対策をとるよう」注意を呼びかけている。駐在員と家族の安全面への不安を引き金に、中国ビジネスの転換を迎える可能性も出てきた。
同アンケート調査はは10月1~8日にかけて実施したもの。有効回答5793社を集計・分析した。