【亜州ビジネス編集部】
タイ中央銀行は16日の金融政策決定会合で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25ポイント引き下げ、2.25%に改める決定を下したと発表した。利下げは2020年5月以来、約4年半ぶり。大半のアナリストが据え置きを予想する中、予想外の利下げとなった。インフレが目標レンジを下回る中、景気を下支えする。
委員7人のうち5人が0.25ポイントの利下げ、残り2人が据え置きを主張した。金利高止まりや通貨高、それらによる輸出競争力の低下など経済の構造的な問題に対処する意見が強く、利下げが決まった。
ロイター通信によると、アナリスト28人のうち利下げを予想したのは4人のみ。中銀は政府による利下げ圧力がありながら直近5会合連続で利下げせず、今回も据え置き予想が大半だったが、予想外の利下げとなった。
中銀は今回、24年の国内総生産(GDP)成長率予想を前回の2.6~3.0%から2.7%に改めた。政府の景気刺激策による消費拡大、電子製品需要の拡大に伴う輸出の増加、外国人観光客数の回復が主な成長エンジンになるとしている。ただし経済の構造的な問題が一部の製造業や中小企業に重くのしかかり、成長にムラが出ることに懸念を示した。
インフレ率については、24年が0.5%、25年が1.2%になると予想。エネルギー価格の上昇を見据える一方、バーツ高が輸入価格の抑制に寄与する可能性があるとみている。中期的にも目標レンジの1.0~3.0%に収まると見込む。
中銀は20年の年初から3度の利下げによって政策金利を0.75ポイント引き下げ、新型コロナウイルス流行下で過去最低水準の0.50%を維持。その後、22年8月に3年8カ月ぶりに引き上げ、それから8会合連続で計2.00ポイント利上げしていた。