【亜州ビジネス編集部】
商船三井は23日、液化天然ガス(LNG)輸入基地を運営する政府系のシンガポールLNG(SLNG)との間で、LNGを貯蔵・再ガス化する浮体式貯蔵気化設備(FSRU)の定期用船に関する長期契約を交わすと発表した。商船三井が新造FSRUを保有し、西部のジュロン港に係留して管理・操業を担う。年間のLNG受け入れ・供給能力は500万トン。2027年にも完工し、シンガポールで2カ所目のLNG輸入基地となる。国内発電量の約95%の燃料を輸入天然ガスに頼る同国のエネルギー安定供給を支える。
韓国造船大手のハンファオーシャンに建造を発注した。LNG貯蔵能力は20万立方メートル。ハンファは先月末、アジア地域の船主からFSRUを5454億ウォン(約600億円)で受注し、27年10月までに完成させると発表しており、商船三井との契約とみられる。
商船三井はこれまでトルコや香港、インドネシアなどでFSRUの操業実績を積み重ねてきた。最近ではポーランドでもFSRUの長期定期用船契約を交わしている。
シンガポールの既存の輸入基地は西部ジュロン島の陸上にあり、13年に商業運転を開始した。受け入れ・供給能力は年1100万トン。年平均900万トンを供給し、国内の発電用ガス需要の約5割を担っている。ガスの残りはパイプラインを通じてマレーシアとインドネシアから輸入される。