【中国】ヴィトン北京旗艦店がオープン遅延、ぜいたく品消費低迷で

【亜州ビジネス編集部】

中国で高級消費財の需要が低迷するなか、一部の海外ブランドが中国での出店計画を見直している。フランスの高級ブランド大手、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下の「ルイ・ヴィトン」は当初、今年上半期に北京市に旗艦店をオープンする計画だったが、現在もまだ実現していない。オープンは来年までずれ込む可能性もあるという。ブルームバーグ通信が5日伝えた。

LVMHのベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)は2023年6月に中国を訪問した際、北京市の旗艦店建設地を視察。5階建てのビルが建設される計画だった。ただ、1年以上が経過した現在でも、まだビルは着工しておらず、建設地はフェンスに囲まれた状態という。

LVMHの計画の遅れは、欧州の高級ブランドが中国で厳しい環境に置かれていることを示唆するものだ。「ゼロコロナ」政策の解除後、中国のぜいたく品需要は回復すると期待されていたが、実際には低迷している。ブルームバーグによると、今年3月以降、欧州の高級ブランド企業の株式時価総額は約2510億米ドル(約38兆2000億円)目減りした。

LVMHが先ごろ発表した2024年第3四半期(7~9月)決算では、主力のファッション・レザーグッズ部門の売上高が為替変動などの影響を除く実質ベースで前年同期比5%減少した。四半期ベースでは、新型コロナウイルス流行下の20年第2四半期(4~6月)以来最悪の業績となっている。中国の消費者の需要低迷が痛手となった。

グループ全体の売上高は3%減少。地域別では、アジア(日本を除く)事業の売上高が16%減少し、全体の重しとなっている。一方、日本は20%増、欧州は2%増、米国は横ばいだった。

ジャン・ジャック・ギヨニー最高財務責任者(CFO)は決算発表時、中国の消費者信頼感がコロナ禍に記録した過去最低水準並みに低下していると指摘した。また、日本での売上高についても、増加基調を維持したものの、市場予想を下回る水準にとどまっている。円高が来日した中国人旅行客の消費に影響したとみられている。


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