【亜州ビジネス編集部】
タイ商工会議所大学(UTCC)経済ビジネス予測センターは20日、米国のトランプ次期政権が掲げる関税政策で2025年のタイの国内総生産(GDP)が0.87%押し下げられるとの予測を明らかにした。米国の関税引き上げによる直接間接の影響で、輸出額は164億7200万バーツの損失を被る見通し。電気・電子製品や機械、食品の分野で影響が大きいとみている。
タイのGDPの米国依存度は2020年に7.2%だった。同センターはトランプ政権の関税引き上げで、対米輸出の減少など直接的な影響のほか、対米・対中の原材料輸出の減少、中国製品の流入増などの間接的な影響を受けると説明。25年のタイの対米輸出額は、通常のケースで前年見込み比5.0%増の584億9300万米ドルに拡大する見通しだが、関税が10%引き上げられれば0.5%減の553億8700万米ドルに落ち込むとの試算を明らかにした。
米中間の貿易も停滞するため、タイの原材料輸出額は中国向けで14億300万米ドル減、米国向けで7580万米ドル減となる見通し。また、米国に輸出できずタイへの流入が増える中国製品は、機械や家具、電気・電子製品、金属・金属製品などがあるとしている。一方、中国製品の代替として対米輸出に期待できる分野には、機械や家電、ゴム・ゴム製品などを挙げた。
2023年のタイの輸出額に占める米国向けの割合は17.0%。また、外国直接投資(FDI)額に占める米国の割合は6.4%、外国人観光客数に占める割合は3.3%だった。