【亜州ビジネス編集部】
ホーチミン市都市鉄道1号線が22日、商業運転を開始した。同市では初、ベトナムでは3路線目となる都市鉄道で、日本が支援した。バイクなど自家用車中心の同市の交通を大きく変えるきっかけになると期待されている。各紙が伝えた。
同路線はベンタイン市場と市直属トゥードゥック市のスオイティエンを結ぶ総延長19.7キロメートル(14駅)。高架部分は17.1キロメートル、地下部分は2.6キロメートルとなっている。1編成(3両)は全長61.5メートル。最大930人が乗車可能で、高架部分では最高時速110キロメートル、地下部分では80キロメートルで運行し、片道を29分で結ぶ。
開業後半年は午前5時から午後10時に8~12分間隔で運行。その後は終電時間を午後11時半に伸ばし、5~15分間隔とする。運賃は最初の1カ月は無料で、その後は距離に応じて7000~2万ドン(約43~123円)とし、電子決済では1000ドン割り引く。1日券(4万ドン)や1カ月定期券(30万ドン)も用意している。
同路線は日本の政府開発援助(ODA)を通して建設。総投資額は43兆7000億ドンで、多くの日本企業が関わった。高架部分は住友商事と第6交通インフラ建設総公社(シエンコ6)の合弁会社、地下部分は清水建設と前田建設の合弁が工事を担当。車両は日立製作所が17編成(51両)を供給した。
2012年に着工し、当初は18年の開通予定だったが、施工会社への未払い問題や新型コロナウイルス禍を経て数回にわたり延期された。伊藤直樹・駐ベトナム日本大使は開業式典で、この案件は日本がベトナムで支援した最大のODAプロジェクトで、両国の協力関係の象徴になると説明。交通需要の高い地域を結び、住民の交通手段を自家用車から都市鉄道に大きく変換させるきっかけになると述べた。
ベトナムでは、21年11月に国内初の都市鉄道としてハノイ市の2A号線が開業。同市では今年8月に都市鉄道3号線の一部区間(ニョン駅~カウザイ駅)も運行を開始した。ホーチミン市では8路線の都市鉄道が計画されており、2号線は土地収用が9割近く終了して来年の着工予定となっている。