【亜州ビジネス編集部】
タイ素材最大手サイアム・セメント(SCC)は23日、操業を一時停止しているベトナム南部バリアブンタウ省の大型石油化学施設「ロンソン石油化学コンプレックス(LSP)」について、再開に向けた進展があったと発表した。原料にナフサよりも安価なエタンを導入する準備を進めており、エタンガス調達の長期契約を17日に締結。また、23日には商船三井との間で、米国からベトナムにエタンを運ぶ輸送船3隻の長期用船契約を交わした。
SCCは54億米ドルを投じて同施設を建設し、昨年9月末に開所した。ただコスト高と世界の石化製品市場の低迷を受けて半月後の10月半ばには運転を停止。コスト高に対応するため、原料に割安なエタンを活用するための設備を新設すると表明した。追加で7億米ドルを投じてエタン貯蔵施設などを建設し、2027年末までの完成を目指す。
今回はエタンガスの調達で、エタン供給大手の米エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズと15年契約を締結した。米国から100万トンを輸入する。
商船三井とは3隻の新造大型液化エタン船(VLEC)をチャーターすることで15年契約を交わした。VLECのタンク容量は10万立方メートル。韓国のサムスン重工業が建造し、27年に完成させる。商船三井グループが管理・運航するVLECは全体で12隻となる。
同石化施設はブンタウ市に近いロンソン島の敷地464万平方メートルに立地。SCCの石化子会社SCGケミカルズ(SCGC)が事業を手掛けている。当初の計画では、ナフサを原料にポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などを最大年産140万トン規模で生産し、包装や電気機器、自動車部品などの産業向けに供給するとしていた。