【亜州ビジネス編集部】
米調査会社IDCによると、インドネシアの2024年のスマートフォン出荷台数は前年比15.5%増の4000万台近くとなった。とりわけ上半期に大きな成長を遂げ、通年では3年ぶりに増加した。
価格帯別にみると、100米ドル未満の超低価格帯が市場回復をけん引。このセグメントでは中国の伝音(トランシオン)がリードした。200~600米ドルの中価格帯も24.9%増と大きく成長し、中国・OPPO(オッポ)がトップを走った。一方、600米ドル以上の高価格帯は9.2%減少。現地調達率要件に満たないとして政府が24年第4四半期に米アップルの新型スマホ「アイフォーン16」の販売を禁止したことが影響した。全体の平均販売価格は195米ドルで、前年から0.5%低下した。
ブランド別の市場シェアでは、格安スマホのトランシオンが18.3%で首位に立ち、前年の13.1%から大幅に拡大。出荷台数は61.7%増と大きく伸びた。2位以下は、◆OPPO=17.8%◆韓国・サムスン電子=17.2%◆中国・小米集団(シャオミ)=16.5%◆同vivo(ヴィーヴォ)=15.3%――が続いた。
第5世代(5G)端末の販売比率は25.8%と、前年の17.1%から大幅に拡大。低価格端末の投入が市場の成長を後押しした。5G市場ではサムスンが依然として首位を維持したが、年末にかけてOPPOが急速にシェアを伸ばし、差を縮めた。5G端末の平均価格は441米ドルで、前年から20.4%低下した。
24年第4四半期の出荷台数は前年比9.6%増で、前四半期比では0.2%減とほぼ横ばいだった。年末商戦での売上増が期待されたが、経済状況への懸念から消費者の購買意欲が鈍った。ブランド別では、トランシオンがシェア19.8%で首位を維持し、小米が17.5%、vivoが17.0%、サムスンが16.6%、OPPOが14.8%で続いた。
IDCは、市場成長を維持するために販売業者が今後も販売網の拡大、値引きキャンペーン、マーケティング戦略の強化を進めると予測。ただし製造・材料コストの上昇、ルピアの為替変動、世界的な地政学的リスクの影響など、市場には不確実性が残るとしている。