【タイ】24年の経済成長2.5%に加速、予測は下回る

【亜州ビジネス編集部】

国家経済社会開発委員会(NESDC)が17日発表した2024年の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年比で2.5%だった。前年の2.0%から伸びが加速。前年に落ち込んでいた物品輸出や公共投資がプラスに転じ、成長をけん引した。ただ家計債務が悪化する中で個人消費は伸びが縮小。また、自動車産業の不振で製造業が前年に続くマイナス成長となり、GDP成長率は同委員会が予測した2.6%を下回った。25年は民間投資の拡大などで2.3~3.3%成長を見込む。

24年は物品輸出(4.9%)が2年ぶりのプラスに転換。年末にかけて米国向けなどの伸びが加速した。サービス輸出(25.5%)は観光業の回復に伴って大きく拡大。公共投資(4.8%)は前年に予算成立の遅れで低迷していた反動があり、プラスに転じた。

一方、個人消費(4.4%)の伸びは3年ぶりの低水準だった。新車販売の落ち込みで耐久消費財の消費が低調に推移している。民間投資(マイナス1.6%)は4年ぶりのマイナス。自動車産業の設備投資が減少し、第2~4四半期に前年割れが続いた。

GDPを生産面から見ると、自動車生産の落ち込みで製造業(マイナス0.5%)が2年連続のマイナスとなった。また、サービス業(3.9%)は、観光業が正常化に向かう中で前年の伸びを下回った。

第4四半期のGDP成長率は前年同期比3.2%となり、前四半期から加速。公共投資の急伸や輸出の拡大で22年第3四半期以来の高成長となった。政府が消費刺激策を打ち出す中、個人消費は食品などで拡大した。

25年は2.3~3.3%成長へ

今回の結果を受け、同委員会は25年のGDP成長率を2.3~3.3%と予測した。24年11月時点の前回予測を維持。政府部門の伸びを下方修正する一方、個人消費や民間投資、輸出の予測を上方修正した。労働市況の改善や低インフレが個人消費を後押しする見通し。また、資本財輸入額や投資申請額が増えていることから、民間投資の回復に期待する。

政府の経済政策については、貿易相手国の政策変更によって被る影響を緩和するための取り組みや、外国直接投資(FDI)の誘致、政府予算執行の迅速化などに重点を置く必要があると指摘した。貿易関連では、米国政府との対話や、ダンピングからの製造業の保護などに力を入れるべきとしている。


亜州ビジネスASEAN
https://ashu-aseanstatistics.com/

この記事をSNSでシェア!


一番上へ戻る