【亜州ビジネス編集部】
シンガポールの市場調査会社、カナリスによると、2024年の東南アジア5カ国(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン)のスマートフォン出荷台数は前年比11%増の9670万台だった。増加は3年ぶりで、世界全体の7%増を上回る伸び率だった。ブランド別では中国OPPO(オッポ)が韓国サムスン電子を抜いて初の首位を獲得。上位5社のうち4社が中国勢で、いずれも出荷数を増やした。
OPPOは14%増の1690万台を出荷。シェアを1ポイント上げて18%とした。コストパフォーマンス重視の「A18」投入や「A3x」のリブランディングが奏功した。サムスンは9%減の1660万台で、シェアを21%から17%に下げて2位に後退した。台数は減少したものの、「ギャラクシー」など高性能・高価格帯モデルの人気は根強く、同社の平均販売価格は326米ドルと前年から14%上昇した。
3位は中国の伝音(トランシオン)と小米集団(シャオミ・コーポレーション)の1550万台(シェア16%)で、それぞれ41%、26%増加した。5位は中国のVivo(ヴィーヴォ)で、14%増の1230万台(シェア13%)だった。
カナリスは、低価格モデルの出荷が増えているものの、サムスンや栄耀(オナー)、米アップルなどの高価格モデルは健闘していると指摘。オナーはシンガポールとマレーシアで4位に入り、アップルは東南アジアで出荷数を15%伸ばした。
第4四半期の出荷台数は前年同期比3%増の2440万台で、5四半期連続で増加した。首位はトランシオンで4%増の410万台(シェア17%)。低価格戦略と販売網拡大が奏功した。2位以下は、◆OPPO=9%増の390万台(同16%)◆シャオミ=5%増の380万台(16%)◆サムスン=15%減の360万台(15%)◆ヴィーヴォ=4%増の350万台(14%)――が続いた。
カナリスは、東南アジアのスマホ市場について、各社がシェア拡大に向けて過剰な販売目標を設定しており、在庫過多による過度な値引き競争につながるリスクがあると指摘。メーカーは適切な需要予測と在庫管理により、市場シェアだけでなく、収益性や運営効率、ブランド価値など、より持続可能に焦点を置いたビジネスモデルへの転換が求められるとしている。