【亜州ビジネス編集部】
NTTドコモとNECの合弁会社OREX SAI(オレックスサイ)は4日、インドネシアでの通信環境整備事業で現地通信会社のソルシ・シネルジー・デジタル(サージ)と協業すると発表した。同日に包括的商業契約を締結した。複数メーカーの機器を組み合わせて通信インフラを構築する「オープンRAN(ラン)」の技術をサージに提供し、インターネット網が行き届いていない離島などの地域で高速インターネットサービスを展開する。
両社は昨年12月に覚書(MOU)を交わして協業を検討。今回の正式契約により、オープンRAN技術を活用した第5世代(5G)固定無線アクセス(FWA)システムを全国各地に導入することを決定した。
今年下半期から数百カ所で試験を行い、来年初めに商業化する計画。2030年にも2万カ所への展開を目指す。通信速度が最大100メガビット/秒(Mbps)のサービスを月10万ルピア(945円)で提供するとしている。今年1月の発表によると、最大4000万世帯の利用を見込む。
フィリピンでオープンRAN実証
オレックスサイは3日、フィリピン通信大手のグローブ・テレコムと組み、同国でオープンRANの実証実験を実施すると発表した。グローブは自社通信網への統合可能性などを調べ、将来のインフラ構築の検討材料とする。
オレックスサイは日本の総務省の「フィリピンにおけるOpen RANのフィールドトライアル実施に向けた実証の請負」を受託した。オープンRANは特定メーカーの機器に頼らないため、拡張性の高い通信網を低コストで構築できるほか、安全保障上のリスクの低減も見込める。オレックスサイは昨年10月にカンボジアで実証実験を行うことも発表している。