【亜州ビジネス編集部】
米国のトランプ大統領は2日、全ての貿易相手国に対して「相互関税」を課すと発表した。東南アジア各国に対する税率では、カンボジアの49%が最も高く、他はベトナムが46%、タイが36%などとしている。個別の関税率を示していない国・地域に対しては一律10%の関税を課す。ロイター通信などが伝えた。
個別の関税率ではほか、◆インドネシア=32%◆マレーシア=24%◆フィリピン=17%――など。一律10%の基本関税は5日、国・地域ごとの個別関税は9日に発効するとしている。
ベトナムのファム・ミン・チン首相は3日開催した関係閣僚らとの緊急会議で、「米国が両国間の良好な関係にふさわしい政策をとることを望む」と発言。25年の国内総生産(GDP)成長率を8%以上とする政府目標は変更しないと強調した上で、ブイ・タイン・ソン副首相を長とする緊急対応部会を即時設置するよう指示した。
タイのペートンタン首相は3日に声明を発表し、「影響を最小限に抑えるため、米政府との間で貿易不均衡の是正に向けた協議を行う準備ができている」と表明した。一方、「長期的にはタイの輸出業者は新たな潜在市場を見つけ、単一市場に依存するリスクを軽減しなければならない」と指摘し、企業の自助努力を促した。
米国勢調査局によると、米国の2024年の国・地域別貿易赤字額は、東南アジアではベトナム(1230億米ドル)が最大で、全体でも中国、欧州連合(EU)、メキシコに次いで4番目に大きかった。東南アジアではほか、◆タイ=460億米ドル◆マレーシア=250億米ドル◆インドネシア=180億米ドル――などだった。