「足利銀と常陽銀のシナジーが強み」
《プロフィール》
バンコク駐在員事務所長 伊藤 孝雄
いとう たかお
■1969年生まれ。栃木県出身。明治大学卒業。93年入行。香港駐在員事務所を経て、2017年より現職。
■座右の銘:一期一会
■愛読書:池井戸潤全般
■尊敬する人物:両親
■趣味:スポーツ観戦、釣り
■バンコクの行きつけの店:ばんや、けん
■休日の過ごし方:ゴルフ
海外拠点の立ち上げに携わってきたと聞きました
弊行は、2017年12月にバンコク駐在員事務所を開設しました。私が初代所長となります。足利銀行として海外拠点は2カ所あるのですが、バンコク事務所の立ち上げ前は、香港事務所(15年4月)の設立に携わり、横滑りで同地に赴任しました。それ以前は、日本の国際部門で約10年以上携わり、メガバンクへの出向も経験し、海外赴任は通算で約9年になります。
設立から1年が経過しました
事務所の立ち上げは香港で経験していますので、それほど苦労はしませんでしたが、国が違えば、文化・風習・言語などあらゆる面が異なります。何より、タイ独特の商習慣やルールがあるので、業務というよりも先ずは、ルールを理解するのに1年かけてきた感じですね。ご存知の通り、香港とバンコクの住みやすさは折り紙つきですので、最初から仕事に専念できる環境が整っている点では一緒でした。新たな試みとしては、弊行は栃木県を地盤とする地方銀行ですが、16年に茨城県を地盤とする常陽銀行(本店・水戸市)と経営統合し、「めぶきフィナンシャルグループ」となりました。そこで、昨年6月からは海外拠点での人事交流を開始し、バンコク事務所には常陽銀行のスタッフも常駐しています。
また、海外拠点に関しても弊行の2拠点に加え、常陽銀行の4拠点を併せて6拠点で連携を深めています。互いの持ち味や拠点活用など、統合によるシナジー効果は高いのではないでしょうか。
具体的な業務はいかがですか
駐在員事務所は、営業活動ができませんので、そうした制約の中で何ができるのかという課題は常に持ち続けています。国内営業のように融資提案もできません。約800社ある海外展開されている弊行のお客様をサポートするにはどうしたらよいのか。 具体的には、進出している顧客のサポートですね。カシコン銀行と業務提携をしているので、設備投資といった資金ニーズには同銀を活用したスタンドバイL/Cによる現地通貨融資があります。その他、海外拠点を設けてからの強みが、海外現地法人に対して、日本の営業店から直接融資を行うクロスボーダーローン(現地貸付)が可能となった点でしょう。
さらには、海外特有の制度に関してや現地動向などの情報提供の他、現地で築いたネットワークを活用した販売先や提携先を紹介するビジネスマッチングも、現地事務所があるからこそ可能なサポートですね。もちろん、グループシナジーとして常陽銀のネットワークによるサポートも可能です。その他、栃木県や茨城県へのサポートですね。最も多いのは、タイ人の訪日旅行客誘致に対するPR支援で、地元産品をタイ市場に広げるお手伝いも業務の一貫です。
昨今の補足状況を教えてください
栃木県の企業は製造業が中心で、大型進出案件は減り、流通業や外食産業といったサービス業が増えています。常陽銀も傾向は似ていますが、元々サービス業の進出が多いので、蓄積された情報を足利銀の顧客支援にも活用できています。香港と比べると進出企業にも違いがありますね。
タイには、しっかりとした日本人コミュニティが形成され、日本人向けだけでもビジネスとして成り立つ市場があります。日本の病院がタイでクリニックを開いたり、薬局を展開することは、香港では皆無でした。さらに、製造業においてもタイ政府主導による付加価値産業の推進(タイランド4.0)もあり、ASEANの周辺国を巻き込んだ、タイを中心とする事業の横展開など、タイを拠点とすることの優位性は高いと思いますよ。
海外生活はいかがですか
香港、バンコクともに衣食住において生活に支障はありません。海外赴任は今回で4回目となりますが、すべて単身赴任でした。ちょうど、子どもの進学時期に重なることが多かったからです。海外事務所の立ち上げに携わった者として、しっかりとした基盤を構築するのが至上命題だと思っています。
駐在員は足利銀と常陽銀から各1名が赴任