毎年恒例BOIセミナー開催。EECへ投資呼びかけ
プラユット暫定政権が、中進国の罠からの脱却を掲げ、2016年にぶち上げたタイの新産業戦略“THAILAND4.0”。あれから2年。同戦略の肝となる東部経済回廊(EEC)のインフラ整備がようやく始まりそうだ。
19日、この時期、恒例行事ともなったBOI(タイ投資委員会)主催の投資セミナーが開催。国内外の投資家ら約3000人を前に、現政権の経済担当トップのソムキット副首相をはじめ、コブサック首相府大臣、ウッタマ工業相、ドゥアンチンBOI長官、カニットEEC委員会事務局長らが、現状と未来を熱く語り投資を呼びかけた。
その中でソムキット副首相は、「まずは、交通(鉄道・道路)、通信を含めたインフラ整備を進め、域内の観光、ビジネスの両面でタイ国内外とのハブを目指す」と話し、その後ウッタマ工業相が補足として「EECをハブに、タイの経済構造は劇的に変わる。そのためには、デジタル技術が必須だが、それについては金融支援をはじめ、スキルや非金融などあらゆる支援を施す」とこれまでの税免除だけではない、手厚い支援体制の構築を示唆した。
さらに、元国営タイ石油公社(PTT)CEOのパイリン運輸副大臣も登壇。EEC域内をハブとするための3空港を結ぶ高速鉄道(物流専用複線化を含む)のほか、将来のセントラル・ステーションとなるバンスー駅から中国・昆明やラオス、カンボジアとの間で越境鉄道を結び、陸路輸送の要となる高速道路網をさらに整備。隣国と連結し、シームレスな物流を実現させると強調した。
一方、セミナーに先立ち、EEC推進の証としてドゥアンジャイBOI長官は、タイ向け投資誘致に関する説明会を世界各地で70回、開催予定だと発表。タイ政府は、17〜21年の5年間におけるEECへの投資目標を1兆7,000億バーツに上ることを明らかにしている。また、政権が代わったとしても、同プロジェクトをタイとして恒久的に進めるEEC法案も近く発行される。まさに、EECの本格始動は今年からだろう。