中核の現地法人2社を統合
顧客ニーズへの対応を強化
1937年の会社設立以来、物流・運輸業界のリーディングカンパニーとして日本の産業の躍進を支えてきた「日本通運」。89年にタイへ進出し、タイ日通グループを形成して同国における物流の価値創造を広く展開してきた。そんな同社が2021年4月、中核である現地法人2社(タイ日通、タイ日通ロジ)を「タイ日通ロジスティクス」に統合。
タイではタイ日本通運と並ぶ中核企業であるタイ日本通運倉庫が、「日通ロジスティクス タイランド(日通ロジタイ)」へと社名を変更したのは16年10月3日。従来、事業会社間で重複していた事業を一本化。営業窓口はワンストップに、オペレーション部門の再編成を行う。それまで、事業会社ごとにサービス展開してきた陸路輸送は、その後、日通ロジタイが引き継ぎ、海運フォワーディングとASEAN域内のクロスボーダー事業を一手に引き受けてきた。
16年から開始していた組織と機能の再構築。その集大成が今回の統合ということになり、陸海空の輸送モードが一体化された。これにより経営の効率化と営業体制の強化が図られると共に、変化する顧客ニーズへのサービスにも一段と幅が出てくることになる。航空関連事業と引っ越し事業を手掛けてきた「タイ日通」。そして海運事業や倉庫配送事業、トラック輸送事業を展開してきた「タイ日通ロジ」。この2社がひとつになることで、ワンストップサービスや倉庫保管、さらに越境輸送をより充実させていくことができ、顧客のサプライチェーンを強力にサポートできることになる。
製品・商品・サービス概要
世界中にグローバルネットワークを持つ世界最大級の物流総合企業である同社にとって、タイはASEAN中核拠点であり、地域の統括機能の一部を置いている。とりわけ注力しているのは、“陸のASEAN”と呼ばれるGMS対象各国(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)だ。
同地域内では、タイ製造業の産業集積と高度化により、物流の増加が続いている。 あらゆる分野での物流増は、まさにタイを中心としたビジネスの面展開が進んでいる証拠だと言えるだろう。直近では、18年6月には、GMS越境交通許可証を日系最多の12ライセンス取得した他、新たにラオスに2支店同時開設(ビエンチャン、サバナケット)。物流拠点としては「アマタシティチョンブリロジスティクスセンター」、そして「レムチャバンロジスティクスセンター」などを持つ。
「今回のコロナ禍ではお客さまのサプライチェーンも混乱する中、船便を航空便に変更したり、航空便を陸路に変えたりといったニーズも急激に増えてきました。そこへ全体的なサービスをスピーディにご提供できるということには、とても大きな意味があると思っています」。同社代表の奥平幸三氏は、このように話している。