【特別コラム】Vol.2
旅のプロが推薦!神秘の国・ネパール

インドと中国のチベット自治区に接する内陸国。
様々な多民族が暮らし、異なる文化が共存する神秘の国「ネパール」の魅力を旅のプロがご紹介します。

ネパールが呼んでいる

仕事に追われる毎日で、来月に休みがあることなんてすっかり忘れていた。
寝転がってファッション雑誌をめくると、渋い男の時計の広告。でも時計よりも僕の目に入ったのは、男の背景に映る神秘的な景色だった。
「撮影地:ネパール」

神秘の文化が根付く国

カトマンズの空港を出ると、もわっとした空気と雑音が異国を感じさせた。
目に入る全ての光景が新鮮で、これからの旅のわくわくを期待させる。

ネパールには30以上もの民族が暮らし、それぞれの文化や言語、宗教が独自の世界観を生み出し、人々は祈りと共に生きている。首都カトマンズは世界中のチベット仏教の聖地とされているそうだ。
ダルバール広場に着くと、ひときわ高いシヴァ寺院に、カトマンズの名前の由来となったらしいカスタマンダプ寺院、生き神クマリが暮らすクマリの館、破壊神シヴァの化身カーラ・バイラヴが僕を出迎えた。

ダルバールとはネパール語で“宮廷”を意味する言葉らしい。かつてカトマンズ王国の宮殿があったが、現在は博物館や寺院が並んでいる。

バクタプルにも同様のダルバール広場があり、それぞれの王が美しさを競いあっていたため、どの広場にも見事な装飾が施された宮殿や寺院が立ち並んでいるそうだ。
クマリは女神の生まれ変わりとされ、サンスクリット語で処女を意味する生き神様だとか。
選ばれた少女は初潮を迎えるまでクマリの役割を果たす。クマリは絶大な力があり幸運をもたらすとされていて、多くの人々からの信仰を集めるそうだが年に数回しか外に出られない。クマリの行動や感情は様々な災いを意味し、喜怒哀楽なく静かな状態が一番いいのだそう。

神秘的な文化に複雑な気持ちになったが、こういった独特な信仰がそれぞれの国の人々や土地を感じられるのは事実だと僕は思う。

ヒマラヤに抱かれた国

白く輝く神々の山嶺、ヒマラヤ山脈。
遊覧飛行で遥かに仰ぎみる古の王国や歴史的建造物、雄大なヒマラヤ山脈の数々は、僕がまさに思い描いていたネパールの景色。
ナガルコットはカトマンズの東に位置するヒマラヤの景勝地。
僕が泊まったクラブヒマラヤ・ナガルコットの屋上のテラスからは夕日も見られた。
360度ヒマラヤ山脈がきれいに見えるリゾートホテルで、ベランダからずっと景色を眺めていたくなる。

古都と魅惑の世界遺産

先住民ネワール族によって、ネパール唯一の都市文明が築かれたカトマンズ盆地。
カトマンズにパタンにバクタプル、ネパールには世界遺産がたくさんある。ここには多くの王宮や寺院が建てられ、絵画や彫刻などの芸術が花開いたそうだ。
世界遺産のスワヤンブナートはネパール最古の仏教寺院。仏塔に描かれた“四方を見渡すブッダの目”はすごい迫力だった。

実は密かに楽しみにしていたヒマラヤ蕎麦も食べた。

ヒマラヤの人々は蕎麦粉をローティなどにして食べていて、甘いものもしょっぱいものもあるそうだが、麺として食べるのは日本人くらいらしい。
ヒマラヤの蕎麦粉を使用した蕎麦は、半年以上日本で修行してきたネパール人が打ったもの。旅の途中で出会う日本食に、心がほっとする瞬間。

神秘的で、魅惑的で、でもどこか懐かしい雰囲気を残すネパール。
忙しさの中で大切なものを忘れかけていた僕に、心の豊かさを思い起こさせてくれた。
世界の旅人が憧れる桃源郷で最高の休日を過ごせた。

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