ついに、4Gサービスも開始。タイ政府の本腰入れたデジタル化がスタート
「5年後、タイのデジタル力はASEANトップ3に入るだろう」。
情報技術・通信省(ICT省)のウッタマ大臣は、タイ地元紙のインタビューに語気を強めて答えた。遡ること2年。軍政の現プラユット暫定政権が発足すると、同首相は、「タイのデジタル化を目指し、デジタル経済委員会を設立する」と高らかに宣言した。だが、外資企業のタイへの投資を促す政策を優先し、発足は幾度となく浮上しては消えていた。
あれから2年。ひとしきり、外資への優遇策も終え、いよいよ本腰入れたタイのデジタル化が始まる。日本で例えるならば、国家を挙げてデジタル化を進めた「e―Japan」といったところか。
冒頭のウッタマ大臣は「すでに同委員会やその他の関連法案は整いつつあり、1〜2ヵ月後には国民立法議会(NLA)に提出される」と話し、法案のなかには、今後、約20年(4期)にわたって進めるデジタル経済構想(仮称)を含み、第1期(1年半)では、ITインフラ整備に注力するという。
先ずは、タイ全土での高速インターネット網の普及を目指し、タイ電話公社(TOT)及びタイ通信公社(CAT)の協力のもと、 2017年までに地方の3万村落で高速ネットを利用できるよう進める。また、デジタル経済と標榜するだけに、ICT系のスタートアップ支援策として、「Digital Thailand Infrastructure Fund」なる基金を創設。集めた資金を活用し、eコマース経営者支援や農産品確認システム「Smart Farming」を開発するほか、デジタル専門家5000人を育成する。また、「Personal Health Record(PHR)」システムを構築することで、タイ全土の病院が受診者(個人)の健康記録を閲覧でき、医療格差の是正を図る。さらに、国境付近にある20校を対象に、高速ネットを活用して、都会の学校と同等の授業が受講できる環境を整えるほか、政府関連機関の資料や情報をデジタル化させ、各機関でシェアするといった、さまざまな計画が盛り沢山だ。ただ、現在タイはASEANの中で、サイバー犯罪率が、インドネシアに次いで多く、無秩序にICT化を図ることで、犯罪率を上げてしまわないか危惧されるが……。