近鉄エクスプレス タイランド
陸・海・空国際貨物、倉庫業、通関業
北米向け+海上(日本)+国境物流
打ち出す新サービスは差別化の証
2017年、総合国際物流大手の“近鉄エクスプレス タイランド”から目が離せない。これまで、タイでは現地物流企業のTKKロジスティクス(2011年)と統合。KWEグループとしては、シンガポールを拠点に世界60ヵ国で展開するAPLロジスティクス(APLL)を15年にグループ化した。これにより、ASEAN陸送、海上フォワーディングでの強化を図り、盤石な基盤体制を構築してきた。
そして、新中期経営計画3ヵ年(2016〜18年)に掲げたのが、稼ぎ頭でもある自動車、電機関連など高付加価値品の北米向け輸送で、欧米の船会社とのパイプも強いAPLLのグループ化はまさに渡りに船。結果、東南アジア各国の荷物を集め、混載させて大量一括でアメリカに輸送する「バンコクゲートウェイサービス」も好調。注力する海上輸送も、KWE貨物のみを混載した日本向け自社サービスで強みを示す。「年間を通して、航空機のスペースが確保できるので価格競争力も高まりました。17年は、新サービスも打ち出します」(谷康行社長)と意気込む。
一方、ASEAN経済共同の発足で、需要高まるメコン地域のクロスボーダー輸送への体制も盤石だ。15年に、タイ東部プラーチーンブリー県の工業団地内に完成した新倉庫は、南部経済回廊を使ったカンボジア、ベトナム(ホーチミン)輸送への布石。さらに、タイ政府が進めるレムチャバン周辺の東部経済回廊計画が進めば、電気自動車(EV)をはじめとする高付加価値品の物流増という追い風も期待される。「強固な組織力で、荷の受け渡しに関する情報把握力が高まり、顧客還元にもつながります」。死角をなくすことが、“信頼”を勝ち得る最短ルートなのだろう。
- ①得意の航空はASEANから北米へ、自社(KWE貨物のみ)サービスによる日本向け海上も好調。高まるコスト競争力は、顧客への利益還元力
- ②「3ヵ年計画に沿ったメコン地域の物流網の構築。基盤となる組織力(人材開発)が急務です。企業力の底上げが新サービスを生む原動力です」(谷社長)
- ③タイ本社主要メンバー。スローガンは「Sustainable Growth」
※この情報は2016年12月現在の取材を元にしています