LCCの台頭により、落ち込んでしまったバス業界
コスト削減のローコストバスなども検討しているが……
中・長距離の移動には欠かせない交通機関として、タイではポピュラーなバス業界が悲鳴をあげている。
バス事業者協会のスチンダー・チャートチャイ氏は、現在、バスの利用者が2013年に比べて40%減、今後は「飲み物やお菓子を廃止し、ローコストバスをはじめるかもしれない」と訴えた。
バス業界の惨状の背景には、LCCの台頭が挙げられる。仮にバンコク〜チェンマイの場合、バスであれば9〜10時間をかかるところを、飛行機であればわずか1時間半。費用も往復で数千バーツとバスに比べれば割高であるが時間の効率化を考慮すると、飛行機を選択する人が多くなるのは当然といえるだろう。
近年、LCC市場は急成長。新たな航空会社が次々と参入し、各社便数を増やすなど、価格競争が激化している。また、原油価格の値下げも後押しし、破格のプロモーションも当たり前と化してきた。
バス業界の訴えを受け、プラチン・チャントーン運輸大臣は「LCCの価格が適正なものかを確認する。ライオン・エアは、バンコク〜プーケット線を650Bで販売するプロモーションを実施したが、バスと同じ価格だった。原価以下となっていないか、調べてみなければならない」とコメントした。LCC側の企業努力のため、なんら非はないように思えるが、同相は「料金の設定は平等にしないといけない」とも述べている。
一方、タイ・エアアジアのタサポン・ベーレーウェーンCEOは「ゼロバーツや数百バーツでのチケットは利用者が少ない時間帯のプロモーション。エアアジアの通常価格と比べれば、バス移動よりも高いはず」と反論しながらも、「バスは料金設定の変更など新しい戦略を立てるべき。航空券と同じく、ハイシーズンには値上げした方がいい」と競合にアドバイスまでしている。
ネット上では「LCCが安いのは消費者にメリットがあるから良い」、「なぜバスもプロモーションを実施しないのか」、「LCCが安すぎるか、バスが高すぎるかを判断するべき」など、賛否両論のコメントが寄せられている。
原油価格の下落から、バス協会は1月16日から0.02B/Kmの値下がりを実施しているが、果たしてバス業界は復活するのだろうか。