海外から日本への引越し
本帰国の引越し準備から入国当日の通関手続きまで徹底解説!

帰国に伴う「海外からの引越し」となると、日本国内の引越しとは勝手がちがいます。日本へ帰国後、スムーズに生活がスタートできるように、事前準備が大切です。ここでは、帰国前の準備から帰国後の流れまでを紹介。基本的な引越しの手順や注意すべき点など、知っておくと便利な情報をチェックしましょう。

海外からの引越し

タイから日本へ引越しする際には、帰国前後でやらなければならない事がたくさんあります。余裕をもったスケジュールで準備を進めておくと、帰国直前になってからバタバタすることもありません。チェックリストを参考に基本的な手順や注意点なども確認しましょう。


【帰国前】引越しチェックリスト

  • 住居の解約・退去の手続き
  • 引越し業者の手配(下見・見積もりの依頼)
  • 退去時の掃除(エアコンや浴室の汚れがひどい場合はハウスクリーニングに依頼する)
  • 日本帰国後の住居探し
  • 荷物の選別(船便、航空便、不用品、買取品の仕分け)

本帰国が決定したら、引越しの準備を進めていきましょう。まず優先ですべきことは住居の解約手続きと引越し業者の手配。引越しの準備は帰国直前まで発生するので、こまめに進めておくと安心です。


【帰国後】引越しチェックリスト

  • 役所関連の手続き(住民登録、住民票の発行など)
  • 新しい住居への引越し
  • 各種ライフラインの手続き(電気、水道、ガス、ネット等)
  • 新居へ荷物を運ぶ
  • 必要な家具・家電の購入
  • 船便・航空便の荷物の受け取り、荷解き

日本へ帰国した後も引越し関連の手続きや作業がたくさん。帰国後は、役所関連の手続きをすみやかに行うこと。その後は、新居への引越し、届いた荷物の受け取りなど作業を進めていきましょう。当面必要としない荷物がある場合は、トランクルーム(荷物保管施設)を利用するのもひとつの手です。


引越し時の注意点!

  1. 日本に持ち帰っても使えないものは現地で処分する
    現地で購入した家電(電化製品)は日本と電圧が異なるため、使用できない場合がほとんどです。持ち帰っても結局捨てることになるので、無駄な作業を増やさないためにも捨てられるものは現地で処分しましょう。
  2. 日本への持ち込みが制限・禁止されているもの
    果物や植物、動物は検疫上の理由から日本への持ち込みに際し、細かな規定があります。持ち帰る場合は事前の申請や手続きが必要です。また、日本への持ち込み自体が禁止されているものもありますので、荷物をまとめる際は十分に注意しましょう。
  3. 貴重品は必ず手荷物で持ち帰る
    荷物の仕分けをしていると、よく起こりやすいのが貴重品の紛失です。パスポートや現金、財布、日本で提出する書類、パソコンなどの精密機器は送る荷物とは別にまとめて、必ず手荷物で持ち帰りましょう。帰国直前になって、どこにしまったかわからないというトラブルになりかねません。
  4. 帰国後、新居への即日入居は困難
    日本帰国後、賃貸契約をしても必要書類の提出などにより即日入居できないという場合があります。こうした際に備えて、半月〜1カ月ほどは家具付きのウィークリーマンションやマンスリーマンションといった仮住まいを帰国前に確保しておくとよいでしょう。


帰国後(日本)の住まい探し

海外に住んでいても、スマホやパソコンを使って日本の住居探しは可能です。気に入った物件があれば、不動産会社へ問い合わせしてみましょう。物件によってはオンラインで内見ができる場合もあります。ただし、本契約は本帰国してからでないと契約できないことがほとんどです。そのため、気に入った物件があっても「契約済み」となってしまうこともあるので、複数の物件を探しておきましょう。

また、不動産会社には現在海外在住であることを説明し、契約時に必要な書類について事前に確認しておくと安心です。


帰国前にできること

  1. 日本の不動産ポータルサイトで物件を探す
  2. 不動産会社に問い合わせる
  3. オンライン内見・一時帰国中の内見
  4. 契約時に必要な書類の準備
  5. 入居までの仮住まいの確保

CHECK! 本帰国前の家探しの注意点

  1. 本格的な家探しのタイミングは入居の1カ月前がベスト
    賃貸の場合、契約から入居までの期間はおよそ1カ月。たとえ気に入った部屋が見つかったとしても入居が2カ月以上先だと「この部屋は人気だからそんなに待てない」「他の人が先に契約してしまった」ということもあるので、本格的な家探しは入居の1カ月〜1カ月半前がタイミング的には最適です。
  2. 住まい周辺の環境
    海外に住んでいると実際に現地へ下見に行くことができない場合も。そのため、近隣に買い物できる場所や娯楽施設、学校や病院などの施設があるのか、交通量は多いのかなど住まい周辺の住環境はリサーチしておきましょう。または、不動産会社の担当に聞いてみるのも良いでしょう。
  3. 荷物の整理
    海外の物件は比較的広い物件が多いため、日本の物件が狭く感じられることが考えられます。そのため、収納スペースや家具を置くスペースを十分に考慮した物件を探す必要があります。

日本に帰る前に知っておきたい! 海外からの引越し手順

海外から日本への引越しはとても時間がかかります。荷物の仕分けや事務手続きが煩雑で、スケジュールに注意する必要があります。以下のSTEP1〜STEP7の「海外からの引越しスケジュール」を参考にしてみましょう。


STEP1 業者へ連絡

帰国が決まったら、できるだけ早い時期に引越し業者へ連絡を入れ、下見日(自宅まで来てもらう日)を決定しましょう。一般的には、日本での配達予定日の約2〜3カ月前から準備をスタートさせれば、ある程度時間的に余裕のある引越しができます。また、引越し業者の選定にあたっては、当然ながら信頼のおける業者を選ぶことが大前提。海外からの引越しで発生する煩雑な作業を考えると、現地の業者よりも現地に法人がある日本の業者に依頼するのが安心です。


スケジューリングの注意点

  • 日本での荷物の通関は本人の帰国後
  • 通関の時点で書類の不備などがあった場合は日数がさらにかかります
  • 輸入日数は輸送手段(船便・航空便)によって変わります
  • 実際の輸送日数スケジュールは、船や飛行機での輸送日数だけでなく、海外の自宅から日本の自宅(配送先)までの輸送日数を考慮して逆算して考えましょう(実際の輸送日数スケジュール=海外の自宅→倉庫への輸送期間=日本への輸送期間→空港(港)からの輸送期間→日本の自宅)

STEP2 荷物の仕分け

業者による下見日までに、何をどの方法(手荷物・航空便・船便)で持ち帰り、処分するかといった荷物の選別をしてまとめておくと、より正確な見積もりが期待できます。お土産など後日購入して荷物が増える予定があれば、どんなのものでどれくらいの量になるかを業者に伝えることも忘れずに。


タイ・バンコクから日本までの船便&航空便スケジュール(目安)

通関の際に検査手続きを必要とする品目(食品、新品の電化製品など)が設けられており、そうしたものを送る場合は通常よりも日数がかかります。また、天候や運行状況などにより、目安の日程から大きくずれることもあるでしょう。

【タイ・バンコク】船便:35〜40日、航空便:10〜15日


引越し荷物の算出方法

荷物の算出方法は、船便と航空便で異なります。船便は荷物の容積で、航空便は重量で算出されることをふまえ、工夫して荷物をまとめるようにしましょう。

船便

容積には、NET容積とGROSS容積があり、M3(立法メートル)またはCFT(立法フィート)で算出します。

  • NET容積…内装梱包容積ともいい、自宅で段ボール箱などに梱包した大きさのことを指します。
  • GROSS容積…外装梱包容積ともいい、引越し業者が引き取ったカートン類をひとまとめにして強化段ボールなどに梱包した大きさのことです。
    ※1M3(約35CFT)は事務机1個が目安
    ※外装梱包は、内装梱包に対して2、3割増しが目安
航空便

重量には実重量と容積実量があり、kg(キログラム)で算出します。


手荷物(携帯品)として持ち帰るもの

現金(紙幣、硬貨)、携帯電話、パスポート、書類関係、貴金属や宝石、ノートパソコン、タブレット、携帯できる精密機器など壊れやすいもの等。


航空便で送るもの

帰国直前まで使用するもの、帰国後早くに必要なもの(衣類や靴など)。


船便で送るもの

サイズが大きいものや重さがあるもの、帰国後すぐには使わないものを送る。2回に分ける場合、1便目で全体の約80%を送り、2便目には帰国前の約1カ月間に必要なものを残し、帰国の2〜3日前に出す。


不用品の処分

大きすぎる家具や日本で使えない電化製品などは現地処分、リサイクルショップで買取、現地在住の知人に譲るなどして処分するようにしましょう。引越しのギリギリになってしまうと、処分が難しい場合もあるのでできるだけ早めに作業しておくと良いでしょう。


荷造りの際に注意が必要な品目

衣類・寝具

よく干して、湿気をしっかり取っておく

防虫剤

シミになってしまうことがあるので、異なる種類のものは同梱しないように注意する

泥などの汚れをしっかり取り、湿気を取っておく

食器類

柔らかい布、エアークッションなどでひとつずつ包む。または、引越し業者に作業してもらう

液体が入ったもの

割れやすいビンのまま送るのはできるだけ避け、プラスチックなどの割れにくい容器に入れ直す

乾電池つきの製品

爆発物と誤解される恐れがあるので、必ず取り外す

冷蔵庫

中身をすべて処分しておき、引取日の前日までに電源を切って霜を取っておく

米・酒・DVD

通関時の検査対象となるため、それぞれひとまとめにしておく

壊れやすい繊細な品物

引越し業者に依頼する

鍵のかかるもの

鍵をかけない(税関検査のため)


STEP3 下見・見積もり依頼

下見の際は、引越し荷物を見てもらうと同時に、今後のスケジュールや疑問点(引越し荷物に貨物保険をかける方法など)を相談してください。2社以上から見積もりを取る場合は、料金の安さだけではなく、サービス面なども含めて引越し業者を決めましょう。


STEP4 荷造りをする


1 段ボールを用意する

船便は、ダンボールをまとめたものを強化ダンボール(トライウォールなど)で囲って梱包し、輸送します。サイズの違うダンボールを使うと、外枠内に無駄な空間ができることで料金直結の全体容積が増える上に、強度も損なわれてしまうため、なるべく同じサイズを業者に注文して揃えるようにしましょう。その際、壊れ物の梱包に必要なエアークッションももらっておくと便利です。


2 段ボール箱に詰める

ダンボールの底にクッションとなるものを詰め、重いものは小さなダンボールに、軽いものは大きなダンボールに、隙間をつくらないようにしながら詰めていきます(お皿など平たいものは縦に詰めると壊れにくく開梱時にわかりやすい)。壊れやすいものは必ずひとつずつ柔らかい紙やエアーズキャップなどで包んでから収めましょう。種類・目的別など関連するものをなるべくまとめて詰めておくと、開梱するときに便利です。


3 段ボール箱に通し番号を記入

ダンボールに氏名、目的地、「1番」からの通し番号を書く。箱に荷物の種類を書いておくと、開梱時に便利です。壊れ物の場合は“取り扱い注意”“FRAGILE”の文言をダンボールに記入して、封をせずに置いておく(引越し当日に業者に確認してもらうため)。


4 梱包明細書を記入

ダンボールに通し番号を記入する際に、一緒に梱包明細書(パッキングリスト)も記入しよう。通関と貨物輸送保険を手配する正式な書類のため、正確な記入が求められる。通関の際、記入した以外のものや免税範囲を超える荷物が入っていた場合は、課税や申告漏れの罰則の対象になるので注意。


梱包明細書には以下の項目の記入が必要です

①署名

梱包証明書が複数枚になる場合はページごとにサインする

②内装梱包番号

荷物の番号を1から順に記入

③品名・数量・保険金額
  • 品名はできる限り詳しく記入
  • 1箱に品名が同じになるものがある場合でも種類が異なる場合は、品目の種類ごとに行を改めて記入
  • 同じ箱に特に高価な品物がある場合は、行を改めて記入
  • 酒、たばこなどは免税の範囲を超えた場合に税金がかかるため、種類・容量・本数を正確に記入
  • お土産は内容(お菓子・民芸品・置物など)を詳しく記入

STEP5 引き取り日当日

荷物の中身や日本で必要になる書類の書き方などを最終確認する。引越し業者に荷造りを依頼した場合は、一緒に梱包を確認しながら自分で梱包明細書を記入しましょう。貨物保険は指定の用紙に記入(運送約款によって損害の補償が限定されるので必ず入る)。また当日までに購入した新品のレシートコピーは業者へ渡しましょう(引き取り日以降は各自で保管する)。


STEP6 帰国日当日の手順

日本へ向かう機内で「携帯品・別送品申告書」が配られるので2枚受け取り、両方に同じ内容を記入しましょう。
日本の空港に到着したら、入国審査を受けます(この際、自動ゲートではなく有人窓口を利用する。後に引越し荷物が輸入通関審査を受ける際に、パスポートに押印された入国管理局の帰国印のコピーを提出する必要があるため)。

入国審査後に荷物を受け取り、税関の手荷物の検査に進み、「携帯品・別送品申告書」の2通を税関員に提出し、戻ってきた1通を受け取ります。

この1通と下記の必要書類を引越し業者に渡してください。
多くの引越し業者は空港内の到着ロビーに「別送品申告書受付カウンター」を設けているので預けましょう。


輸入通関手続きに必要なもの(※1)

  1. パスポート(コピー)
    滞在地でパスポートを更新している場合は、古いパスポートも持参する。
  2. 携帯品・別送品申告書
  3. 梱包明細書
  4. 購入品のレシート(コピー)
    新品を持ち帰った場合
  5. スーツケースの鍵
    鍵をかけた場合は、内容品チェックのために必要になります。
  6. 通関委任状・配達依頼書
  7. その他の特別な書類
    規制対象のものを輸入する場合、検査証明書や輸出許可証など。

(※1)申告を行う税関によって必要書類が異なる場合がある。また、航空便と船便は同時の通関はできない。ほか、「携帯品・別送品申告書」を税関に提出できなかった場合は特別な手続きが必要となり、さらにお土産やたばこ、新品の免税適用がなくなる。


日本へ持ち込みの際の注意点


輸入免税について

船便や航空便で送った荷物や携帯品は、次のような条件を満たせば免税扱いになる。

  1. 携帯品・別送品(船便や航空便)の申告を行っていること(※2)
  2. 帰国(入国)から6カ月以内に輸入すること
  3. 税関から個人的に使用すると認められたもの

(※2)携帯品・別送品申告書を税関に提出できなかった場合は特別な手続きが必要となり、さらにお土産やたばこ、新品の免税適用がなくなります。


免税の範囲(成人1人当たり)

品名【数量または価格】

備考

酒類【3本】

1本760ml程度のもの

「紙巻たばこ」のみの場合【200本】
「加熱式たばこ」のみの場合【個装等10個】
「葉巻たばこ」のみの場合【50本】
その他のたばこの場合【250g】

2018年10月1日より、たばこの免税範囲が変更され、居住者と非居住者及び日本製、外国製の区別がなくなりました。

香水【2オンス】

1オンスは約28ml(オーデコロン、オードトワレは含まれません)

その他のもの【20万円(海外市価の合計額)】

①合計額が20万円を超える場合には、20万円以内におさまる品物が免税になり、その残りの品物に課税されます。

②1個で20万円を超える品物、例えば25万円のバッグは25万円の全額について課税されます。

③1品目ごとの海外市価の価値の合計額が1万円以下のものは、原則として免税となります。(例:1本5,000円のネクタイ2本など)

海外市価とは、外国における通常の小売購入価格のこと


一般の関税率が適用されるもの
  • 1個(1組)の課税価格が10万円を超えるもの
  • 米(別途納付金が必要)
  • 食用の海苔、パイナップル製品、こんにゃく芋、紙巻きたばこ以外のたばこ、狩猟

消費税および地方消費税のみ課税されるもの(関税無税品)
  • 貴金属の万年筆、腕時計、貴石(裸石)、ゴルフクラブ、パソコン、書画、彫刻など
    ※関税がかからない品物は、課税価格に対して消費税および地方消費税(合計で10%)のみが課税されます

簡易税率が適用されるもの
品名

税率

酒類
①ウィスキー、ブランデー
②ラム、ジン、ウォッカ
③リキュール、焼酎など
④焼酎
⑤その他(ワイン、ビールなど)

800円/L

500円/L

400円/L

300円/L

200円/L

紙巻きたばこ

15円/1本
※たばこ特別税0.5円/本を含む。

その他の物品(関税が無税のものを除く)

15%

※関税が無税のその他の品物については、その種別に応じ軽減税率8%と標準税率10%のいずれかの消費税率が適用される。


STEP7 荷物を受け取る

輸入通関後、別送品で送った荷物が到着する。荷物が届く前に、大まかな家具の配置を決めておくと搬入時の手間が省けます。当面必要としない荷物がある場合は、専門業者のトランクルームを利用するのも一案。荷物を開梱する際は、破損や損傷がないかをしっかり確認しておきましょう。


タイから日本への持ち込み禁止品と注意点

海外からの引越しだからこそ注意したいのが、輸入禁止品と輸入規制品。引越し荷物といえども、該当の品物が入っていた場合には、厳しく罰せられます。身近なものも含まれるので、お土産の購入や荷造りの際はきちんと確認するようにしましょう。


持ち込み禁止品(※一例です)
  • 肉および食肉加工品(冷凍も不可)
  • 麻薬、禁止薬物(麻薬成分を含んだ食品、ドリンク、日用品なども不可)
  • 果物、野菜(植物検疫により一部持ち込み可)
  • 生花(切り花、ドライフラワー、ハーバルボールなど)
  • ブランドのコピー商品
  • 象牙やべっ甲(タイマイの甲羅)の装飾品
  • ワニ革やヘビ革のかばん・財布等
  • 仏像、骨董品、美術品
  • イネワラ製品(三角枕)

持ち込み時の注意点
  • 税関等で申告が必要なものなのか必ず確認しましょう。申告せずに禁止されたものを日本に持ち込んでしまうと処罰の対象となります。
  • 国際郵便等で日本へ送る場合も禁止品の郵送は禁止です。
  • 空港の免税店やショップでおみやげとして販売しているものであっても、禁止品に該当するものは持ち込みできません。
  • タイ・バーツの持ち出しも制限があります。1人5万バーツまで、それ以上の金額は空港で税関申告が必要。

情報提供

ワイズ・パブリッシング・ジャパン株式会社
『帰国便利帳』


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